韓国でスマート機器の使用などにより、十分な睡眠が取れず無気力な状態に陥る小学生が増加しており、青少年の精神健康指標が悪化しているとの研究結果が明らかになった。政府は青少年の精神健康問題を解決するために「第1次学生健康増進基本計画」を実施したが、かえって青少年の精神健康が悪化しているという。
国会立法調査処が、世界自殺予防デーである10日に発表した「学生の精神健康の実態と今後の課題」という研究報告書によると、政府が過去5年間(2019~23年)に実施した基本計画は、政策的努力にもかかわらず、目標を十分に達成できなかったと評価された。
中高生の「自殺衝動経験率」は、2019年には13.11%だったが、2023年には13.47%に増加した。同期間の「自殺未遂経験率」も3.99%から2023年には5.26%に上昇している。
全体の指標では、中学生の自殺リスクが最も高かった。自殺リスク群に分類される学生数は年間約2万人で、全体の約1%だが、中学生では2.4%に達し、最も高い水準となっている。
特に、小学生に関しては「無気力感の経験率」が増加し、「適正な睡眠時間を確保している割合」は減少しており、精神健康に対する警戒信号が灯っていることが判明した。「不幸な青少年」の範囲が中高生から小学生にまで広がっている状況である。
小学生の「無気力感経験率」は2017年の2.50%から2021年には3.94%に増加した。また「適正な睡眠時間を確保している割合」は2017年55.43%、2018年55.57%だったのが、2021年には51.65%、2023年51.95%などと減少傾向を示している。
スマートフォンなどのインターネット利用時間が青少年の精神健康に悪影響を及ぼしているとの懸念も提起された。最近の複数の研究によると、青少年のスマートフォン過剰使用は、直接的に自殺衝動を引き起こすわけではないものの、心理的な抑うつ感を増加させ、間接的に自殺衝動を誘発する可能性があると指摘されている。
小学生の1日2時間以上のゲームやインターネット使用率は、基本計画が策定される前は25.3%だったが、策定後には36.3%に増加した。中高生も67.7%から87.3%へと大幅に増加している。
報告書は「学校でデジタル・スマート機器の活用を積極的に推奨する政策は、学生の精神健康の面で非常に懸念される側面がある。スウェーデンでは、学校でのデジタル機器使用の義務方針を取り消し、紙の本や手書きを重視する方向へ教育政策を転換している点を参考にすべきだ」と提案している。
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