日本海に浮かぶ竹島(島根県隠岐郡隠岐の島町)を韓国は「独島」と呼び、実効支配を続けている。日本政府は「韓国による竹島の占拠は国際法上何ら根拠がない」「不法占拠」と抗議を続ける一方で、その領有権を巡る問題について「国際法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決する」との立場を取っている。
韓国による実効支配が続く竹島の様子を日本側からうかがうのは困難だ。日本人が韓国の出入国手続きに従って竹島に上陸すれば、「韓国の領有権を認めた」と誤解されるため、日本政府は自粛を求めている。
一方、韓国側では「島の重要性や韓国の主権を学ぶ」という教育目的で、「独島探訪」などと銘打った行事が頻繁に開催されている。教育機関や地方自治体、民間団体などが主催し、学生や一般市民らが幅広く参加して、島への理解を深めるという活動が展開されている。
韓国政府の統計によると、「独島」への年間訪問者数は2022年に28万312人、2023年は23万2380人。2005年以降で今年7月までの訪問者数は約330万人に達する。
こうした行事で、韓国側は自国民にこの島の実効支配についてどう伝えているのか。その一端を、韓国海洋財団が主催し、韓国海洋水産省と民間ニュース通信社NEWSISが後援する「独島探訪」から紹介したい。
◇歴史・人物・生態を幅広く学ぶプログラム
韓国の青少年や教職員らが「独島」を見て、感じ、海洋領土の重要性を実感する機会を提供する――こんな目的で企画されたのが「2024年・体験と参加中心の独島・鬱陵島探訪」だ。
このイベントは、8月30日から9月1日までの2泊3日の日程で実施され、世宗市のチェ・ギョジン教育監や高校生・教職員ら計43人が参加した。
世宗市教育庁は今年6月、管内のすべての高校生と教職員を対象に参加申し込みを受け付け、日ごろからどのぐらい「わが国の領土・独島」に関心を持ち、「独島」教育活動に参加し続けてきたか――を基準に人選した。
このイベントは、「独島」と、そこから約92km離れた鬱陵島の歴史・人物・生態を幅広く学ぶプログラムで構成された。特に、1900年10月25日に当時の大韓帝国政府が「勅令第41号」を公布するのに重要な役割を果たした鬱陵島検察官のイ・ギュウォン(李奎遠)が当時、鬱陵島を調査した場所を中心に訪れた。
初日は安全教育を受け、慶尚北道蔚珍の後浦港を経由して鬱陵島に到着し、通九味、台霞海岸散策路と待風坎、芸林園など、鬱陵島の歴史と生態を体験した。
2日目は遊覧船に乗って鬱陵島の海岸生態を見学し、「独島博物館」「アン・ヨンボク(安龍福)記念館」「独島義勇守備隊記念館」、羅里盆地などを探訪した。
最終日、鬱陵島の沙洞港から出発して「独島」に上陸した。「SEJONG ♥ DOKDO」と書かれたタオルと横断幕を掲げ、「独島」の大切さを再確認する時間を持った。その後、後浦港を経て世宗市に帰った。
学生らは▽「独島」に関するコンテンツのショート動画制作▽「独島」訪問の感想文の作成▽「独島」名誉住民証の申請――などの活動に参加した。
チェ・ギョジン氏は「探訪は、独島が韓国固有の領土であることを体験し、正しい歴史観を心に深く刻む感動的で意義深い時間だった。学生が生き生きと独島を体験できるよう、独島体験館の活性化や探訪プログラムの運営継続に努めていく」と語った。
世宗市教育庁は2020年に「世宗特別自治市教育庁独島教育強化条例」を制定し、セロム高校で「独島体験館」を運営している。また、管内の優れた「独島」教育活動に参加した学生や教職員を対象に「独島探訪」を毎年実施し、日本政府の主張や教育に対抗するための多様な取り組みを続けている。
(つづく)
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