他人の傘を誤って持ち去ったとして起訴猶予処分を受けた高齢男性について、韓国憲法裁判所が「処分が不当である」との判断を示した。男性は記憶力が低下し、病院で検査を受けた経験がある。全裁判官一致での判断だ。
ソウル中央地検は2022年10月、窃盗容疑があった男性を起訴猶予処分とした。起訴猶予とは罪が認められるものの、被告の年齢や被害者との関係、犯行動機、犯行後の状況などを考慮し、検察が起訴しない措置だ。起訴猶予処分を受けると捜査記録は5年間保管され、検察が再度起訴する可能性がある。
男性は2022年8月、ソウルの飲食店で他人の傘を自分の傘と間違えて持ち去ったとされる。男性は「故意ではない」と主張し、憲法訴訟を申し立てた。憲法裁判所は「窃盗の『故意』が合理的に証明されたとは言い難い」として、処分の取り消しを決定した。
事件記録によると、男性は飲食店で自分の傘と間違えて黒い傘を持ち去った。男性は2カ月後の警察の捜査で、自分の傘と似ているために誤って持ち去ったと説明した。男性は当時62歳で、3年7カ月前に記憶力の低下を訴えて大学病院で検査を受けていた。
憲法裁判所は「傘の色やサイズが似ているため、誤認の主張は非合理的ではない」とし、男性が友人と共に食事した後に自宅近くの飲食店で傘を取り違えた状況は窃盗とは考えにくいと補足した。
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