現場ルポ
カカオに限定してストックオプションを巡る論争起きたことには、明確な理由がある。
カカオは今月13日、すべての系列会社を対象に、職員の株式売却規定を設けた。今後、系列職員は、上場して1年間は株式を売却できない。ストックオプションで受け取った株式も同規定が適用される。最高経営者(CEO)の売却制限期間は2年間と、さらに厳しい制限が設けられる。
カカオのキム・ボムス議長らは「Kキューブ・ホールディングス」の脱税疑惑も提起されている。投機資本監視センターは先月、キム議長らを警察庁に告発した。カカオは昨年、韓国政府のプラットフォームビジネス規制議論で頭を悩ませている。特に新規株式公開(IPO)を待つ「カカオモビリティ」「カカオエンターテインメント」などがひと際、困惑している。
ストックオプションに関する規定をみれば、現行法上、株主総会でストックオプションの付与方法、行使価格、行使期間などの事項を定め、総会決議日から2年が経過した日から5年以内に行使できる。
だが、新規上場以降の権利行使について、別途制限があるわけではない。筆頭株主所有の株式の義務保有期間が韓国取引所の上場規定によって上場後6カ月でロックアップ(上場日から一定期間、大株主の株式の売却に制限を設ける)されるのとは対照的だ。
ストックオプションの大半は、企業が上場を準備する前の段階に与えらえるため、上場時に2年制限が解除される場合がほとんどだ。実際、カカオバンクのユン・ホヨン代表も、2019年3月25日付でストックオプションの権利を付与されたため、上場前にストックオプションの行使時期が満了していた。
ストックオプション関連規定を改正して、上場後の一定期間、ストックオプションの行使を防ぐべきと訴える声が高まる。韓国取引所は新規上場企業の経営陣のストックオプション行使を一定期間制限する形で管理するガイドラインの策定を検討している。
政界にもストックオプション制度の改善を催促する声が相次いでいる。与党「共に民主党」の大統領候補のイ・ジェミョン(李在明)氏は、自身のFacebookで「第2のカカオペイの食い逃げを防ぐために、制度の改善も必要だ」と投稿している。
ある企業関係者はカカオの「食い逃げ」論争に対し「結局のところ、ガバナンスの失敗と見るべきだ。オーナーが経営陣のストックオプションの処理に対して明確なガイドラインを提示するべきだった」と指摘する。
別の企業関係者は「企業が急に拡大すると、基本として備えておくべき、モラルある行動の綱領が不十分になることがある。これに個人の成果を優先する企業文化が加わると、会社に属している職員にも関わらず、あらゆる決定を、会社より自己に委ねられることになる」と警告する。
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