パリ五輪で韓国代表選手と笑顔で写真に収まった北朝鮮代表選手を、北朝鮮当局が少なくとも2~3年間、革命化教育、つまり労働鍛錬刑に処する恐れがある――北朝鮮の元エリート科学者で韓国に亡命したパク・チュンクォン氏がこう懸念している。
パク・チュンクォン氏は国防総合大学(現・金正恩国防総合大学)を卒業したエリート科学者で、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に参加したこともある。2009年に脱北し、今年4月の総選挙で与党「国民の力」から立候補して当選した。38歳。
パリ五輪では、卓球混合ダブルスで銀メダルを獲得した北朝鮮代表のリ・ジョンシク、キム・クムヨンのペアが、表彰式の際、金メダルの中国ペア、銅メダルの韓国ペアとともに6人で自撮りで記念撮影して笑顔を見せ、この場面は大きな話題になった。
パク・チュンクォン氏は27日にYTNラジオ「ニュース・ファイティング」で、この南北卓球代表の自撮りについて「南北の選手たちが並んで表彰台に上がり、明るい表情で、韓国サムスン電子から提供されたスマートフォンで自撮りをしたのは、とても良い光景だった」と評価した。
北朝鮮選手らは短時間であれ、韓国選手と接触し、サムスンの最新型スマートフォンを見た。パク・チュンクォン氏は「彼らはその短い時間で『南朝鮮(韓国)は貧しく、人々は疲弊している』と教えられたこととの認知的不協和を感じたのではないか」とみている。
そのうえで、パク・チュンクォン氏は「少なくとも2~3年程度の革命化処罰を受けるだろう」と指摘した。パク・チュンクォン氏によると、「革命化」は農場などに送られ、2~3年程度の鍛錬を受けて帰ってくること。少し重い処罰を受ける場合、労働教化刑が10年程度(韓国なら刑務所に10年ほど入るようなもの)で、場合によっては政治犯収容所に送られることもあるという。
北朝鮮が1966年のサッカーW杯イングランド大会でベスト8に輝いた際、北朝鮮のサッカー代表選手が韓国選手と接触し、一緒に夕食を取ったり、酒を飲んだりするなど、良好な関係を築いたという。だが、帰国後、政治犯収容所に送られ、大部分が追放されたという。
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