新型コロナウイルスのパンデミック中、韓国のある産婦人科医が「ワクチンに未確認の生命体が存在する」と主張し、物議を醸した。この医師は、ワクチンの培養液を400倍に拡大すると、正体不明の微生物が動いている様子が確認できたと述べ、ワクチン接種の中止を訴えた。しかし、ほとんどのワクチンは滅菌処理が施され、摂氏マイナス数十度で保存されるため、微生物が生存することは不可能だ。韓国医師会はこの医師を「誤った医療情報」を広めたとして処罰する方針を表明したが、すでに「ワクチン恐怖」は主にママカフェ(母親たちのコミュニティーサイト)などで広がっており、その拡大を抑えることは困難なようだ。
現在、新型コロナウイルスの再拡大に伴い、「インフォデミック」(情報と疫病の合成語)への懸念が再び高まっている。パンデミック当時には「にんにくやキムチを多く食べると感染しない」「鎮痛剤を体に塗れば治る」といった科学的根拠のない情報が蔓延していた。ある教会では、牧師が信徒に新型コロナウイルス予防として塩水をスプレーし、集団感染を引き起こす事態も発生した。
最近では、ある企業がSNSで、韓方由来のエッセンスを鼻に塗ることで新型コロナウイルスやインフルエンザの感染を防げると宣伝し、「マスク不要」とまで主張している。しかし、これは防疫当局が推奨する「マスク着用」とは正反対である。
さらに、今月16日には、世界保健機関(WHO)がサル痘(エムポックス)に関して国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言したこともあり、新たな呼吸器疾患以外の感染症に関するデマの蔓延も懸念されている。すでにインターネット上では、サル痘がmRNAワクチンの副作用だという根拠のない噂が広まっている。
このようなデマが社会や経済に与える混乱は甚大であり、場合によっては命を奪う危険性もある。例えば、イランでは「消毒用アルコールがコロナを退治する」というデマの結果、短期間で5000人以上が中毒症状を引き起こし、500人以上が死亡するという事態が報告されている。このような背景から、韓国政府は新たな感染症の拡大に備え、デマの管理や監視を強化すべきだという声が強まっている。
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