韓国の定年まで働き続ける正社員が全体の15%に満たない状況が浮き彫りとなり、高齢者の雇用政策の強化が求められている。現在の法定定年や定年後の継続雇用に対する助成金制度には限界があるとの指摘があり、相対的に社会的合意が得やすい「義務再雇用年齢」の導入が検討されるべきであるという提案がなされている。
「義務再雇用年齢」は、定年に達した高齢労働者のうち、再雇用を希望する者を特定の年齢まで(あるいは一定期間)、使用者が義務的に再雇用する制度。
17日に発表された韓国労働研究院のイ・スンホ研究員の報告書によれば、現行の60歳定年まで正社員として働き続ける高齢者の割合は14.5%に過ぎないという。報告書は2016年に導入された法定定年が退職を遅らせる要因となっているものの大企業の従業員に限られた効果しか持たないと評価している。
また、定年後も継続雇用を促進するための助成金制度についても言及している。この制度は2020年から導入され、中小・中堅企業の事業主に対して、定年後に雇用され続ける高齢者1人当たり最大3年間、四半期ごとに90万ウォン(約9万8300円)の助成金を支給している。しかし、この制度も対象が狭く、特定企業にのみ5年間支給されるため、長期的な政策対応としては不十分だと指摘されている。
報告書は、義務再雇用年齢の導入が社会的合意を得やすい中間的な制度であり、企業が定年延長よりも少ない負担で高齢者の経験豊富な労働力を活用できる一方、労働者は定年退職よりも安定した所得を確保できると述べている。
韓国銀行は、先月発表した「2次ベビーブーマーの退職年齢進入に関する経済的影響評価」報告書で、高齢者の退職時期を積極的に遅らせることで、韓国の経済成長率の低下を0.14から0.22ポイント減少させる可能性があると指摘している。これは、高齢者の継続雇用への政策支援と制度変更が、将来的な労働人口の減少に対応する鍵であることを示している。
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