パリ五輪バドミントン女子シングルスで28年ぶりに韓国に金メダルをもたらしたアン・セヨン選手は昨年、賞金や年俸などで約9億ウォン(約9900万円)を受け取ったとみられる。世界ランキングトップ10位圏の選手が広告収入やスポンサーシップで毎年100億ウォン(約11億円)に達する収益を上げていることを考えると、物足りないとの評価もある。
世界バドミントン連盟(BWF)によると、アン・セヨン選手は昨シーズン、ワールドツアー8大会で優勝し、ファイナル4強入りを果たして賞金62万8020ドル(約9200万円)を獲得した。これは、男子シングルス世界1位のビクトル・アクセルセン選手(デンマーク)に次ぐ2位だった。アクセルセン選手は昨シーズン、ワールドツアー6大会で優勝し、賞金64万5095ドル(約9500万円)を得ている。
アン・セヨン選手は賞金とは別に、年俸として約6100万ウォン(約670万円)を受け取ったとされる。韓国実業バドミントン連盟の選手契約管理規定によれば、高卒選手の入団初年度の年俸は5000万ウォン(約550万円)に制限され、その後3年目までに年間7%以上は増額できない。アン・セヨン選手は2021年1月に光州体育高を卒業してサムスン生命に入団。初年度の年俸5000万ウォンを受け取り、3年目の昨年まで毎年7%ずつ引き上げられていた。
アン・セヨン選手の昨年の総収入は約9億ウォンに達するが、国際的な競技者と比較すると低い水準だ。韓国では個人的なスポンサー契約が禁止される一方、海外ではこれに対する規制ないことが背景にある。
例えば、世界ランキング13位のシンドゥ・プサルラ選手(インド)は、昨年、広告収入やスポンサーシップで710万ドル(約10億円)を稼いでおり、アン・セヨン選手の総収入の10倍に達する。シンドゥ・プサルラ選手の昨シーズンのBWFツアー賞金は5万4015ドル(約790万円)で99位にとどまっている。
アン・セヨン選手はメディアのインタビューで、規定を柔軟にする必要であると述べ、契約金や年俸の上限についても「制限を設けず、もっと自由にしてほしい」と発言している。
バドミントン界では、アン・セヨン選手の立場に理解を示しつつも、バドミントンがマイナー競技であるためにやむを得ない側面もあると指摘されている。バドミントン協会は公式スポンサーからの支援を、アン・セヨン選手を含む選手全体に分配している。ただ個人でのスポンサー契約を許可すれば、マイナー選手やジュニア選手への支援が減る可能性がある。
一方、契約金や年俸の上限については、連盟が改正を検討しており、契約期間の短縮や上限額の引き上げを来年までに実施する方針だ。
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