韓国の通話アプリ「カカオトーク」の登場はセンセーショナルだった。
かつて「メール1通にもお金がかかる」として文章を少なくして送ったり、電話1分間にも「お金がかかる」と言って、急いで切ったりしていた。そんな時代を当たり前のように過ごしてきた。
だが、カカオトークはこれらを全て「無料」にした。
韓国ネット大手カカオは、カカオトークで培った認知度と技術力により急成長した。有望な企業を買収し、成長可能性が高い部門は独立させた。こうして分社した系列会社は、再び買収合併(M&A)を推進し、会社の勢力を拡大した。
2010年に売り上げ3400万ウォンだったカカオは、今や年間売り上げが7兆ウォンを超える、名実共に大企業になった。
しかし、あまりにも早く成長したせいだろうか、カカオは今、「成長痛」を患っている。
◇成功した“先輩企業家”
カカオを創業したカカオグループコントロールタワー「CA協議体」のキム・ボムス共同議長兼経営刷新委員長。2008年にNHN(現ネイバー)を離れ、カカオを立ち上げた当時のキム・ボムス氏の目標は明確だった。
「100人の最高経営責任者(CEO)を育てることができれば、成功した“先輩企業家”になることができる」
各系列会社のCEOが独立して経営しながら会社を育て、その成長による成果を惜しげもなく共有した。
カカオが急速に成長したのも、この米国式スタートアップ的な経営哲学を体現したからだ。
しかし、カカオの成長方程式に限界が見え始めた。中核事業の系列会社を重複上場させ、親会社であるカカオの株価を引き下げた。系列会社の役員らは数百億ウォン規模のストックオプションを売却し、投資心理を悪化させた。
一部ではカカオの規模は大きくなったが、役員のマインドは「ベンチャー企業」にとどまり、社会の期待を満たせなかったという指摘が出ている。
大企業であれば備えるべき手続きと規制も足りなかったという。
カカオ問題は、いたるところで次々起きている。
昨年2月にはSMエンターテインメント持分を買収する過程で相場操作を試みたという疑惑が持ち上がった。同12月にはカカオMがBaram Picturesを高価で買収し、一部役員が利益を得たという問題も発生した。
二つの事件は捜査が進んでいる。特にSMエンターテインメント相場操作疑惑は最近、検察がキム・ボムス氏に拘束令状を請求して「司法リスク」をよりいっそう大きくしている。
◇大々的な刷新作業
「牛を失ってから牛舎を直すようなもの(泥縄式)」ではあるものの、カカオは大々的な刷新作業を進めている。
CA協議体と外部経営機構「順法と信頼委員会」によって、カカオグループの意思決定システムは今、どの大企業より徹底している。
これからカカオグループ系列会社が企業公開(IPO)を進める時、グループレベルで綿密な事前検証の手続きを経て、株主価値の保護策を準備しなければならない。経営陣選任の際の倫理的検証手続きも作った。
カカオは現在直面している危機を克服すれば、完全な「大企業」としての地位を確立できるだろう。「カカオは潰れないだろう」とカカオに投資した小額株主186万人の信頼に応えなければならない。【news1 ソン・オムジ】
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