「スタートアップの技術を盗んだ加害企業に『損害賠償額を5倍まで課する』というのに、実際には技術盗用行為を認めるケースが少ない」
大企業から技術盗用被害を受けた韓国のスタートアップ代表は、新興企業の立場で被害事実を立証することがどれほど大変なのか、改めて振り返った。
スタートアップの場合、協力関係にある大企業や中堅企業の顔色をうかがわなければならない。技術の盗用が発生しても法的に争うことが難しく、裁判で争っても傷だけが残る。
中小ベンチャー企業省によると、スタートアップが昨年、同省の行政調査と紛争調整を申請した事件の50%は「技術盗用」が原因だ。技術盗用事件は告訴しても起訴率が21%に止まる。一般刑事事件の半分レベルに過ぎないわけだ。起訴が少ないうえ、無罪率は刑事事件の10倍に達する。
スタートアップは取引先との関係悪化や、業界でのネガティブな視線を覚悟して法廷闘争に臨むのに、実際には傷だけが残る。
さらに大きな問題は、裁判で勝っても、スタートアップが得られる損害賠償額は平均6000万ウォン(約660万円)に過ぎないという点だ。技術盗用によって受けた被害からの完全回復をはかるにはあまりに少ない賠償額だ。
業界によると、スタートアップが受け取る賠償額が少ない理由は、技術を盗用した大企業がアイデアの段階でスタートアップの技術を盗み、協力関係を断ち切ってしまうからだという。
アイデア段階で技術を奪われると、被害額をどう見積もるか判断するのは難しい。実際に市場で販売された商品・製品がないため、損害賠償額の算定自体が難しい。
中小ベンチャー企業省は、こうした損害賠償額問題を解決するため、中小企業技術保護法の改正を推進することにした。損害賠償額認定基準を「製品販売に伴う損害額」から「技術開発過程に投入された費用」まで認められるよう改善することが骨子だ。
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