「宝くじを買ったら、1週間が楽しいです。1週間の間、想像で家も買って車も買うんです」
韓国大邱市達西区(テグシ・タルソグ)のA宝くじを販売するコンビニ。今月7日午後4時、ここを訪れたタクシー運転手のキムさん(68)は、購入した宝くじをポケットに入れて、こう話した。
キムさんが宝くじを購入したAコンビニは全国で指折りの「宝くじの名所」だ。看板に「1等31番」という大きな字が書かれている。週末を控えてここには人々の足が絶えることはない。週末宝くじの代表格であるロトの当選番号が発表される前日の金曜日午後と、発表当日の土曜日の午前が一番混雑する。押し寄せる客に道路の前には駐車係まで配置された。
売り場の前には、宝くじを買おうとする人たちが長蛇の列を作った。出入り口の近くに設けられたテーブルは、番号を記入する人たちでごった返した。幸運をもたらす番号を思い浮かべながら、空を見つめる人が多かった。
購買した宝くじの種類や購買額は違ったが、宝くじ販売店を出る人々の表情にはそれぞれ希望が込められていた。
主婦のパクさん(61)は、子どもたちに家をプレゼントしたいという思いから、2年前から毎週1万ウォン(1ウォン=約0.11円)ずつ宝くじを買っているそうだ。「子どもたちが結婚すれば、してあげられることはあまりない。宝くじが当たれば家でも買ってあげられる。最近、生活が厳しいけど、小額だからこの程度は投資できると思う」(パクさん)
会社員のホンさん(53)は、友人と一緒に宝くじを購入した。ホンさんは「そろそろ退職後のことが気になる。宝くじに当たれば老後の資金として使いたい」と話している。
専門家は、景気が厳しいほど宝くじなどで幸運をつかもうとする人が増えると分析した。特に最近、物価高・高金利・高為替レート(ウォン安)の3高現象が続き、宝くじに目を向ける庶民が増えているという。勤労所得が減り、支出が増えるなか、「一攫千金」を狙う人々が多くなっている。
統計庁が先月30日に発表した家計動向調査のマイクロデータによると、第1四半期221万2000世帯が宝くじを購入したことがわかった。調査対象世帯が2183万4000世帯であることを考えると、10世帯に1世帯が宝くじを購入したわけだ。同四半期で、この5年間で最も高い割合だ。
A宝くじを販売するコンビニ店主は「普通、宝くじは冬に多く売れて夏は伸び悩むのだが、最近は売れないシーズンでも売り上げが落ちない。昨年の今ごろと比べ、ロトは10%、即席宝くじは20~30%程度販売数が増えた」とみる。
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