ソウル市が、深刻なレベルに達した少子化問題を解決するために各種の少子化対策を打ち出すなか、今回、「精・卵管復元手術費支援」という新たなカードを切った。
一部では「少子化の根本的な原因を無視した政策」という不満の声が出ているが、ソウル市は「子どもを産もうとする人々のための政策」であり、少子化克服のためのソウル市の多様な試みの一つだと説明した。
ソウル市は最近、1兆5110億ウォン(1ウォン=約0.11円)規模の「2024年第1回追加補正予算案」を編成し、これをソウル市議会に提出、審議を要請した。補正予算の核心は、民生経済の回復と社会的弱者支援などだ。このうち、少子化のための各種新規政策も含まれている。その代表例が、35歳以上の妊婦に対する医療費支援と、精・卵管復元手術費支援だ。
意見が分かれる政策は、精・卵管復元手術費支援だ。市は年1億ウォンの予算を投入して精・卵管復元手術を受けたソウル市民を対象に、1人当たり最大100万ウォンの手術費を支援し、妊娠と出産を希望する家庭の経済的負担を軽減すると明らかにした。
チョ・グク(曺国)元法相が立ち上げた革新系野党「祖国革新党」は「手術費に負担を感じる国民がいるかもしれないが、これは本質から外れた少子化解決策だ」と非難している。同党のチョン・チュンセン院内首席副代表は「果たして国民が精・卵管復元費がないから子どもを産まないのか」との見方を示したうえ「子どもを産むことができない構造を根本的に改善しなければならない」と指摘した。
一部の市民もこのような意見に同調した。すでに子ども3人を出産して精管手術を受けたことがある30代男性は「精管・卵管手術を受けたということは、もうこれ以上子どもを出産しないという計画を立てたことになる。果たして復元手術費の支援を受けたからといって、さらに子どもを産もうとする家庭がどれほどあるのか」と疑問視した。
ソウル市は今回の「精・卵管復元手術費支援」は、低出生解決のためのソウル市の多様な政策の一つで、何よりも「子どもを産もうとする意志がある家庭のための『オーダーメード型』支援政策だ」と強調している。健康保険公団によると、ソウルで精管復元手術を受ける市民は毎年100~110人で、この人々に合わせた政策として予算を策定したということだ。
ソウル市の関係者は「2004年、政府レベルで出産奨励のために、精・卵管復元手術に健康保険の適用を拡大したことに続き、2019年からは他の自治体でも精・卵管復元手術に支援金を支給している。子どもを産むことを切実に希望したり、出産しようとする意志がある家庭のためのオーダーメード型事業だ」と説明している。
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