韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が外国人留学生や移民を最低賃金未満で働かせることができるとする家事労働者の就職許容推進対策を指示し、批判が出ている。移住者を差別する発想が根底にあり、ただでさえ劣悪なケアサービスの賃金がさらに下がりかねないというのだ。
大統領室によると、ユン大統領は今月4日、会議の冒頭の発言で「国内に住む16万3000人の外国人留学生と3万9000人の結婚移民者家族が家事、育児分野に就職できるようにすることが効果的だ。そうすれば家庭内雇用で最低賃金の制限を受けず、より柔軟な市場が形成される」と話した。
韓国銀行も先月初め、ケアサービスの人材難緩和のために個別世帯が私的契約方式を通じて安く外国人労働者を雇用する方法を提案した。実際これなら最低賃金の適用を受けない。
だが、安いケアサービス労働契約の推進は2022年6月から施行している家事勤労者法の趣旨と矛盾するとの指摘がある。この法律は政府から認証を受けたサービス提供機関と勤労契約を締結した家事労働者に最低賃金と社会保険などを保障する法だ。
このため労働界でユン大統領の発言は、外国人留学生と結婚移民者を現行法が適用されていない非公式的な労働市場に追いやることだという批判につながっている。韓国労総は「ケアサービスの質を高めるためには労働者の賃金と処遇の改善が必要だ」と声明を出している。
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