韓国の半導体大手「SKハイニックス」は3日、米中西部インディアナ州ウェストラファイエットにあるパデュー大学で、インディアナ州とパデュー大、米政府関係者らとともに投資協定式を開いた。SKハイニックスが38億7000万ドル(約5855億円)を投資し、ウェストラファイエットにAIメモリー用先端パッケージング生産工場を建設すると公式に明らかにした。同社はパデュー大と半導体技術の開発でも協力する。
SKハイニックスは「インディアナ工場では2028年下半期から(生成AIの駆動に必要な)広帯域メモリー(HBM)などAIメモリー製品を量産する。当社はこれを通じてグローバルAI半導体供給網を活性化する先頭に立つだろう」と明らかにした。さらに「インディアナに建設する生産基地とR&D施設を基に現地で1000以上の雇用を創り出し、地域社会の発展にも寄与する」と表明した。
SKグループのチェ・テウォン(崔泰源)会長は2022年7月、バイデン米大統領とのオンラインによる会談で220億ドル規模の対米投資計画を明らかにした経緯がある。SKハイニックスは同年、米国に先端パッケージング製造施設と研究開発(R&D)センターを建設する計画を発表した。
SKハイニックスは多様な候補地を検討した結果、インディアナ州を選定した。インディアナ州政府が投資誘致に積極的だったことはもちろん、半導体生産に必要な製造インフラが豊富なうえ、半導体など先端工学研究で有名なパデュー大学があるという点が高く評価された。
SKハイニックスは「技術リーダーシップを強化するために米国への先端後工程分野の投資を決めた。米国はAI分野のビッグテックが集中しており、先端後工程分野の技術研究も活発に進められている」と説明した。
SKハイニックスのクァク・ノジョンCEOはインディアナ州とパデュー大の支援に感謝の意を伝え「半導体業界で初めてAI用先端パッケージング生産施設を米国に建設することになり、うれしい。今回の投資を通じて、当社はますます高度化する顧客のニーズと期待に応え、オーダーメード型メモリー製品を供給していく」と述べた。
◇HBM先端パッケージング拡張…SKハイニックス-NVIDIA-TSMCの三脚編隊
SKハイニックスのインディアナ工場では、半導体生産の最後の工程に当たるパッケージングを担当する。ここは顧客である米半導体大手「NVIDIA」と協力会社である「台湾積体電路製造(TSMC)」とともに三角編隊を組んで相乗効果を出すものと見られる。
SKハイニックスはAI半導体1位のNVIDIAとHBM3(第4世代)の独占供給契約を結び、昨年HBM市場で50%以上のシェアでトップとなった。同社は今年3月から、NVIDIAの新規チップB200GPUにHBM3E(第5世代)の供給を開始し、市場で優位に立ち続ける見通しだ。
これまでNVIDIAAIチップにHBMを統合する作業は、TSMCが先端パッケージング工程で担当してきた。SKハイニックスが韓国で生産したHBMを台湾のTSMCに送ると、TSMCがNVIDIAGPUにHBMをつける方式だ。
しかし、TSMCが2021年、米アリゾナに半導体受託生産工場2カ所の建設に着手したのに続き、SKハイニックスまでパッケージング工場を米国に建設すれば、米国内でAI半導体の設計から生産、パッケージングまでが可能になるシステムが作られることになる。
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