世界中の話題をさらった米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)のシリーズドラマ『イカゲーム』。脚本・演出を手掛け、世界で最も有名な監督になったファン・ドンヒョク氏のインタビュー映像が12日、韓国イメージ賞の授賞式に合わせて公開された。
「自分が制作した作品で、映画であれドラマであれ、米国でトップに立ちたいという欲がありました。『イカゲーム』も米国のネットフリックスで1位になるという目標と夢をもって制作しました。しかし、こんなにも歴史的成功を収めることになるとは思ってもいなかったです」
ドラマでは、めんこ、ビー玉、タルゴナなど、韓国の遊びが登場し、注目を集めた。
「韓国の遊びの中でも、世界中の人々にわかりやすい、非常に単純で可愛らしいゲームを選んだ。同時にこういった遊びを、どうしたら残忍なゲームにすることができるのか、現実社会と照らし合わせて表現してみました」
ドラマは計8時間にものぼり、エピソードは9つある。制作するのは容易なことではない。しかも場面ごとに数百人の登場人物がいる。精神面だけでなく、体力面でも負担が大きかった。気を抜ける場面が一度もなかった、というのがファン監督の本音だそうだ。
これまで、社会派映画『トガニ』、コミカルさに感動を込めた『怪しい彼女』、重みのある歴史を描いた『天命の城』など、常に新しい映画のジャンルを開拓してきた。「飽きっぽい性格なので一つの作品、一つのジャンルをしたら、それに似たようなことを、もう一度やりたいとはあまり思いません。まだしたことがないからこそ心が躍る。新しいことには恐怖や不安もある。挑戦し続けるうちに、ジャンルと色彩が多様になった」と打ち明けた。
現在構想中の作品やジャンルも、やはりファン監督にとって新しいものだ。「20〜30年後の近未来に迫ってくることを題材に、社会性のあるドラマを作りたい」
作品がヒットして、真っ先に思い浮かんだのは自身の母親だった。最も感謝しているのも母親だった。「父が早くに亡くなり、母が私を一生懸命育ててくれました。私が映画を作りたいと言った時にも否定せず、ただただサポートしてくれました。この道を歩んできたなかで辛かったことはたくさんありましたが、母が私を責めたり急かしたりしたことはありませんでした。ずっと信じてくれたんです」
『イカゲーム』は昨年、ネットフリックス歴代最長の53日間、世界の総視聴回数1位を記録し、グローバルシンドロームを巻き起こした。韓国イメージコミュニケーション研究院(CICI)は「第18回 韓国イメージ賞」でファン監督に「踏み石賞」を授与した。『イカゲーム』によって世界中から韓国文化に多くの関心を集めた功績をたたえた。ファン監督は現在、海外滞在中という。
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