「アルバイトで遅くなり、弟たちのご飯をしっかり用意できないことが気になって、つい自転車を盗んでしまいました。すみません」
昨年11月20日、韓国京畿道烏山市(キョンギド・オサンシ)のある派出所を訪れたある高校生A君が、盗んだ自転車を返却し、警察官らに伝えた言葉だ。
烏山警察署によると、A君は派出所を訪れる2日前の昨年11月18日午後、烏山市のマンション内で、ロックされていない自転車に乗って帰宅した。
A君は7人兄弟の長男。父親が宅配会社に勤めているが、母親が病気を患っており、家計に少しでも役立てようとアルバイトをしていた。
自転車を盗んだ日は、アルバイトが少し遅く終わり、中学生・小学生・幼稚園児という幼い弟たちの夕食を用意しようと急いでいた。帰宅途中、友人の自転車と勘違いして乗っていたことに気づき、再び返したという。
A君の家計は厳しいが、生活保護の基礎受給者や「次上位階層」(勤労貧困層)に属さず、「福祉の死角地帯」に置かれていたものと見られる。
これを受け、烏山警察署は、烏山市役所や行政福祉センター、保健所などの機関とともに、緊急福祉支援など、A君の家庭を手助けしようと模索している。A君の家庭は現在、賃貸マンションに住んでいるが、より良い条件の住居地を用意できるよう検討している。
烏山警察署関係者は「A君が初犯であり、被害者も善処を望んでいる。裁判所は罰金10万ウォンの宣告を猶予している」としている。
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