韓国の水原(スウォン)高裁はこのほど、夫を殺害したとして殺人罪に問われ、1・2審で懲役30年を言い渡された妻である30代被告の差し戻し審で、原審を破棄して殺人罪について無罪を言い渡した。
被告は2021年5月、夫の食事に致死量を超えるニコチン原液を混入してニコチン中毒に陥らせ、治療で持ち直したものの、さらにニコチン入りの水と白がゆを摂取させて殺害したとして起訴された。
被告はその後、夫の口座から300万ウォン(約33万円)を引き出したコンピューターなどの利用詐欺の罪にも問われた。
1審は殺人罪を認定して懲役30年を言い渡し、2審もニコチン入りの水を飲ませて死亡させた罪を認めて量刑を維持した。しかし、最高裁は昨年7月、追加審理が必要だとして差し戻していた。
差し戻し審で水原高裁は▽犯行準備や実行過程▽ニコチンを利用した殺害方法を選択する理由▽他の行為による死亡の可能性▽犯行動機――など主要争点を再度審理した。
判決は「被害者は高濃度のニコチン原液を摂取したとみられるが、被告が犯行のため購入した状況が確認されていない」と指摘。また「ニコチンは刺激性が強く、意識が明確な被害者に多量のニコチンを入れた白がゆと水を与えて殺害する方法を選択するとは思えない」と判断した。
加えて夫の不安定な心理も強調している。
高裁は、夫が被告の浮気を知って自殺を試みた経験があることや、インターネットで「自殺」などの単語を検索していたことに着目し「被害者の不安定な情緒が深刻化し、他の行為によって死亡した可能性を完全に排除できない」と述べた。
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