韓国国民の9割近くが裁判中継に賛成――。裁判所がこんな内容を含む報告書を出した。裁判所では最近、司法の信頼回復を目指すため、判決だけでなく公判や弁論手続きなどの審理を生中継できるよう制度改正を目指す動きがある。報告書はその流れを後押しするものだ。
報告書によると、国民の87.9%が裁判中継の必要性を肯定的に評価した。社会的に関心が大きく重要な事件の裁判は国民の知る権利を保障するためにも、より広く公開する必要があるという考えがあるとみられる。
韓国の裁判は、憲法109条の公開原則によって傍聴が認められるが、法廷の収容人数によって制限がある。パク・クネ(朴槿恵)元大統領の職権乱用事件など国民的な関心を集めた裁判が中継されたのはこうした理由からだ。
ただ、国民と法曹には温度差がある。中継に肯定的なのは検事48.9%、裁判官44.7%と、ともに半数に満たなかった。
法曹関係者は当事者の肖像権や氏名など個人情報が過度に露出されるおそれがあり、公判での発言が切り取られて拡散すればプライバシーの侵害につながると憂慮している。また、訴訟関係者や裁判所に対する過度な関心が裁判の公正性に影響を及ぼしかねないという懸念もある。
最高裁は2017年に「法廷傍聴や撮影などに関する規則」を改正し、1・2審の公判か弁論の開始前と判決宣告時のみ中継できるようにしている。
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