米サンフランシスコで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が17日(日本時間18日)、幕を閉じた。韓国は今回の会議を通じて、米国、日本との堅固な協力を改めて確認した。ただ、会議前から注目されていた中国との首脳会談は結局、実現しなかった。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権は昨年5月の発足後、米国、日本との外交に重点を置いた。これに伴い、日本との関係が急速に改善され、その勢いで8月には米キャンプデービッドで日米韓首脳会議を開き、3カ国の協力を誇示した。
一方で、今年初めから▽新型コロナウイルス感染再拡散による防疫葛藤▽ユン大統領の台湾関連発言▽駐韓中国大使の内政干渉騒動――などが続き、中国との関係は悪化した。
ただ、今年7月の高官級交流や東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議を契機にしたパク・ジン(朴振)外相と王毅・中国共産党政治局委員との会談で関係改善の兆しが見えた。9月にはハン・ドクス(韓悳洙)首相が習主席と会談し、日中韓首脳会議と習主席の訪韓が話し合われるなど、関係改善の雰囲気が熟しているように見えた。
そのため、今回のAPEC契機の首脳会談は、関係改善に重要な機会になると思われた。
韓国政府は今回、中韓首脳会談を開くために日程を調整したが、結局、会談は実現しなかった。ユン大統領と習主席が会議場で短い対話を交わしたのが全てだった。両首脳の会談は1年前の昨年11月、インドネシアで開かれた主要20カ国(G20)首脳会議の時が最後だ。
今回、首脳会談が不発に終わった背景には、中国が米国(軍事コミュニケーションチャンネルの復元、デカップリング、半導体)や日本(水産物輸入)との会談に力を注ぐほかなかったためだとみられる。
ただ、中韓首脳会談の不発にもかかわらず、今後、韓国政府の対中外交モメンタムは維持されるだろうという観測が支配的だ。
牙山政策研究院のイ・ドンギュ研究委員は「政府の立場では首脳会談不発が残念な部分かもしれないが、今月、外相会談が開かれるため中国との関係を導いていく機会は残っている。急ぐことなく、中国との協力を強調し、コミュニケーションのチャンネルを拡大していく必要がある」と指摘する。
(c)news1