課題は、強大な影響力の政治ユーチューバーが偽ニュースを流布しても、これを規制する法制度が韓国では十分ではないという点だ。
現行の言論仲裁法や放送法などによると、ユーチューブなどの個人によるメディアは放送に分類されない。
訂正や反論報道などによって、被害を救済することも不可能だ。
名誉毀損罪や侮辱罪など刑法上で告訴する方法は可能ではあるが、訴訟が長期化するうちに、さらに虚偽情報が広がり、被害を実質的に防ぐことは難しい。
◇規制強化なら中国のように…
ドイツでは2017年、「ネットワーク執行法(NetzDG)」を制定されている。不法なコンテンツについて申告があった場合、プラットフォーム事業者は24時間以内に遮断しなければならない。
フランスも2018年、「情報操作との戦いに関する法律」 を制定した。選挙前の3カ月間、オンラインプラットフォームに虚偽情報が流れた場合、裁判所命令を経て中止させることができるようにした。
現在、韓国国会では「言論仲裁や被害救済などに関する法律」(言論仲裁法)改正案(キム・スンスアン)が審議中だ。紛争調停・仲裁の対象に、ニューメディアコンテンツを追加するという内容だ。
ただ、新たに加わる対象は、報道機関が作ったコンテンツに限定しており、政治ユーチューバーによる被害を防ぐには限界がある。
言論仲裁法改正案以外にも「情報通信網利用促進や情報保護などに関する法」改正案も現在、審議されている。改正案では、虚偽情報削除要求権を新設し、オンライン紛争調停委員会を設置するといった内容だ。
ただ、この法案については「言論の自由を侵害する」とした批判も少なくない。
ソウル大学言論情報学科のイ・ジュンウン教授は「(ユーチューバーを規制する)法律を作ることは可能だが、中国のようになってしまうのではないか。きちんとお金をかけて(言論・研究機関は)より面白く、より立派な(コンテンツを)市民に提供すべきだ」と強調する。
(つづく)
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