ソウル市が2032年に世界最高水準の「ドーム球場」を蚕室(チャムシル)に建設すると明らかにしたが、建設期間中の代替球場問題を憂慮する声が出ている。
市は秋夕(チュソク、旧暦8月15日)の連休が終わり次第、野球界と協議体を作り、公式協議に乗り出す方針だ。公式協議体を通じて野球界の不満を静めることができる「妙手」が見つかるかに関心が集まる。
◇新閉鎖型ドーム球場、韓国最大
ソウル市によると、市は蚕室一帯にドーム球場をはじめとする先端スポーツ・展示コンベンション施設を造成する計画だ。約5000億ウォン(1ウォン=約0.1円)を投じる新閉鎖型ドーム球場は、今の蚕室野球場の敷地に建設され、3万席以上の国内最大規模となる予定だ。
雨や猛暑など天候の影響を受けず、安定的な運営が可能で、オールスターブレイク(オールスター戦が開催される約1週間のリーグ休息期)やオフシーズンには、大規模な公演やイベントも開催できる。
市は、内外を循環する360度開放型コンコース(観客席と連結された廊下空間)と「スカイボックス」「フィールドボックス」「ファミリーゾーン」など各種「プレミアム席」も導入し、野球場とホテルを連結して客室、レストラン、フィットネスなどホテルの多様なサービスも利用できるようにする方針だ。
◇2026年着工、2031年末完成を想定
市は、蚕室運動場・マイス複合事業の優先交渉対象者である「ソウルスマートマイスパーク」(主幹事・ハンファ)と計画を練っているところだ。
新ドーム球場は2026年着工、2031年末完成が想定されている。今の蚕室野球場の敷地に建設するため、2025年のプロ野球シーズンが終わった後、2026年から蚕室野球場は解体、撤去作業に入る。野球ファンは2032年のプロ野球シーズンから新ドーム球場で試合を観戦できるようになる。
問題は、2026年シーズンから2031年シーズンまでの6シーズン、蚕室球場をホームとする斗山(トゥサン)とLGが代替球場を使わなければならないという点だ。既に斗山とLGファンから「借家暮らし」などの不満の声が出ている。
LGのヨム・ギョンヨプ監督は「6年はあまりにも長い時間で、ファンの立場ではホーム球場がとんでもないところに行ってしまうのであれば、話にならない。ファンはソウル市民であり、市民が不便を感じないようにしなければならない」と主張した。
当初KBOと両球団はソウル市に対し、1988年ソウルオリンピックのメインスタジアムとして建設された蚕室メインスタジアムを代替球場とする案を検討してほしいと要請した。しかし、市は蚕室の全域で工事が進められれば、出入路の安全管理側面で問題がありうるとし、これを事実上排除した。
ソウル市関係者は「蚕室全域で工事が進められた場合、代替球場への観覧客の出入りは奉恩橋1カ所を通じてのみとなる。狭くて傾斜した道に最大1万8000人の人が一瞬にして集まると、安全を保障できない」と話した。
◇代替球場、検討しても…
市は撤去後、新たなドーム球場建設期間までの代替球場として高尺、木洞、水原、仁川野球場などを検討中だ。しかし、球場ごとに追加工事、遠い距離などの問題がある。
新球場の着工まで時間が迫っており、市はKBO、斗山・LGと協議体を作って緊密に議論する方針だ。
市は蚕室野球場の代替球場と関連してKBO、LG・斗山両球団と球団側が推薦する建設・安全分野の専門家などが参加する統合協議体の構成を秋夕の連休が終わる時点までに終え、早ければ来月初めに最初の会議を開く。
統合協議体は市民の安全性、歩行動線、蚕室民間資本事業の施設別段階的施工案など、代替球場造成全般に関する客観的な検討を担当する。また、LG・斗山側が追加で要求する案件がある場合、分野別専門家の意見を聴取し、代案を模索する。
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