韓国のオンラインファッションコマース企業「ムシンサ」が社内保育所の設立撤回で批判を浴びたことを受け、国内IT企業の妊娠・出産・育児関連制度が話題となった。
統計庁によると、今年第2四半期(4~6月)の韓国の合計特殊出生率は0.7人となった。1人の女性が一生に産むと予想される平均出生児数が0.7人にとどまるという意味だ。
◇社内保育所を複数運営
低出生率問題を克服するために、ネット大手ネイバーやカカオなどのIT企業は、社内保育所を複数運営すると同時に、有給保育休暇などの制度を通じ、社員の妊娠・出産・育児を積極的に奨励している。
ネイバーは昨年、ソウル近郊の城南市盆唐区板橋に6番目の社内保育所を開設した。300人余りを収容できる。ネイバーはこのほかにもソウルや京畿地域で、社員専用保育所を運営中だ。計900人以上の子どもを収容できる。
他にもネイバーは社員の円滑な出産・育児休職を支援するために「妊婦ガイド」も用意した。まず、出産予定日の150日より前に妊婦登録をしてもらい、その社員の妊娠事実を早く周知し、該当社員の延長勤務、夜間勤務、休日出勤を防止し、保護できるようにする。
あわせてネイバーは、流産の危険が高い妊娠初期と早産の危険がある妊娠後期の女性社員と胎児を保護するために▽妊娠後12週間以内、または36週以後は1日2時間の時短勤務▽法定の育児休職1年と、もう1年の計2年間の休職――を認める。休職時にも保育所の申請が可能で、月30万ウォン(1ウォン=約0.1円)相当の個人業務支援費、傷害保険、健康診断など多様な在職者福祉制度が利用できる。
一方、ネイバーは▽無料駐車券の提供▽出産前後の休暇は90日を付与し、必ず出産後45日以上休めるようにする▽妊娠時50万ウォン、出産時100万ウォンの出産祝いを支給▽妊娠中にやむを得ず出張に行く場合はビジネスクラス――などの制度を整えている。それだけでなく、盆唐区のネイバーすべての社屋には母親のためのラウンジが設置されており、対象者だけが利用できるようにタグで管理する仕組みとなっている。
◇有給休暇付与
カカオは済州島の済州本社と城南市盆唐区の板橋を会わせ計907人の子どもを収容できる保育所を運営している。2014年に開設した▽済州「スペースドットキッズ」保育所は、職場保育所専門運営機関に運営を委託し、午後9時まで開いている。カカオはこの他にも▽板橋「ヌルイェソル」保育所(定員300人)▽板橋「アジトゥル」保育所(定員300人)▽板橋「ビョルイドン」保育所(定員250人)――を運営している。
また、カカオは社員が子どもの養育、病気、事故などで家族の世話をしなければならない場合、毎年10日の有給休暇を付与する。この休暇は、子どもの入学・卒業式、面談、授業参観、運動会などにも使える。また、家族の疾病、事故、子どもの養育などで長期的な世話が必要な場合は、1回の使用時に30日以上、年90日まで利用可能な「家族世話休職」制度もある。さらに、家族の世話や本人の健康、学業などの理由で最大1年間、週当たり15~30時間の時短勤務も可能だ。
出産・育児休職に関しては、妊娠中の女性社員は母子保健法で規定された保護休暇(計90日、多胎児は計120日)を利用でき、配偶者が出産すれば最大10日間の有給休暇がもらえる。
会社は妊婦(計8日)だけでなく配偶者(計3日)にも胎児検診休暇を、不妊治療休暇として有給3日、流産時には最大60日間の流・死産休暇も付与する。子どもを養子縁組した場合には最大10日間の有給休暇を付与し、育児休職は子ども1人当たり最大2年間を付与する。
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