ソウル市中心部の公園にある元慰安婦を追悼するモニュメント。だが制作を担当した芸術家は強制わいせつ罪で有罪判決を受けた。そんな人物の作品を展示し続けてよいのか――。
賛否の声が渦巻くなか、ソウル市は5日、このモニュメントを撤去した。「苦痛を受けてきた慰安婦被害者のための場所に、強制わいせつで有罪判決を受けた作家の作品を放置するのは、慰安婦を侮辱することであり、国民感情にも反する」。市はこんな理由を前面に押し出している。
撤去されたのは、南山公園につくられた慰安婦問題の「記憶の場」に設置されたイム・オクサン(林玉相)被告の作品「大地の目」と「世の中のへそ」ほか6点。撤去は5日午前6時すぎに実施された。4日の段階で撤去を試みたが、元慰安婦の支援団体「正義記憶連帯」に阻まれていた。
イム被告は2013年、自身の研究所の女性職員を後ろから抱き寄せキスをした強制わいせつなどの罪で在宅起訴され、ソウル中央地裁は8月17日、懲役6月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。イム被告は「量刑不当」として控訴したという。
これを受け、ソウル市は市内にあるイム被告の作品をすべて撤去すると明らかにした。一方、正義記憶連帯などは「ソウル市の『記憶の場』からの撤去は、日本軍による『慰安婦』の歴史抹消、女性暴力抵抗の歴史抹消だ」と主張し、反対する運動を展開していた。
6点の跡地には公共美術委員会の諮問などを経て、新たな作品が設置される。
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