米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)オリジナルコンテンツ「静かなる海」が公開されて12日が過ぎた。「SFジャンルを試みた韓国の最新失敗作」(香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト=SCMP)という酷評まで出たが、トップ10に軽く入り、上位を維持している。
グローバルOTTコンテンツランキング集計サイトである「フリークス・パトロール」の3日発表によると、「静かな海」は前日時点でネットフリックス「テレビプログラム」部門で世界5位を記録した。
俳優ペ・ドゥナとコン・ユが出演し、チョン・ウソンが制作に参加した「静かなる海」は先月24日に公開された。水が枯渇し、荒廃した近未来を背景に、特殊任務を任されて月に旅立った精鋭隊員たちの物語だ。チェ・ハンヨン監督が2014年、学校の卒業作品として制作した同名の短編映画をシリーズ化した。
公開後、7位でチャート入りしたのに続き、先月最終週に3位まで上げた。現在、順位は下がっているものの、世界のテレビショーでは5位を維持している。特に韓国コンテンツの強いインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾などでは公開後、ずっと1~2位を記録している。
タイトルと同様、静かな雰囲気に、好き嫌いが分かれた。世界的人気を集めた「イカゲーム」や「地獄が呼んでいる」に比べ、展開が遅く、刺激に欠けるという評価だ。SCMPは先月24日のレビュー記事で「感性的な結論として見せるのに気を取られている」と指摘した。
だが、この点に魅力を感じる人もいる。派手なSFモノではないが、俳優たちの安定した演技と斬新なストーリーは好評を得ている。ペ・ドゥナは最近、インタビューで「刺激的な要素がない。俳優の目に集中しなければならず、穏やかな水面下で渦を巻いているようなドラマ」と語っている。
「イカゲーム」が「韓国型デス・ゲーム」のジャンルを生んだように、「静かな海」は「韓国型SF物」を誕生させた。見慣れたクリシェ(目新しさが失われた表現)は残念だが、家族主義と人文学的な問いで差別化した。
ネットフリックスの韓国コンテンツでは、好き嫌いが大きく分かれる。こんな評価に対し、コン・ユは「私たちはトップになるためにドラマをつくっているのではない」という。「ジャンルも違い、それぞれの作品には、それぞれ持っている固有の情緒がある」と主張した。これまでのK-コンテンツブームに比べると残念な結果だが、「静かなる海」としてまた、韓国コンテンツの底力を見せつけたという評価も出ている。
専門家も「静かなる海」は評価が割れる作品とみる。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏はこう指摘する。
「どのような期待感をもって作品を見るかによって反応が異なる。これまでの韓国ネットフリックスオリジナルコンテンツは、数分以内に視聴者を引き寄せる刺激的な素材があるが、『静かなる海』はとてもゆっくりと感情を積み上げていくドラマ。だから速度が遅い」
そのうえで、次のような見解を示した。
「SFモノという点に集中すれば、科学的に合わない話がかなり多くなる。だから失望を感じることもある。スリラー的な観点から見ると、想像力の斬新さが際立っている」
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