韓国で保護者の悪質な苦情など教育活動侵害によって、教壇を去る教師が増えている。労組のアンケートでは87%がこの1年間に辞職を考えたといい、異常事態が続いている。
小学校低学年の担任として数十年の経験があるベテラン教師の場合が昨年、自主退職をした。学校に入ったばかりの児童らの生活習慣、社会的関係について教育してきた。
だが一部の保護者が些細なことでも「校内暴力を受けた」として苦情を申し立てる。夜は眠れず、疲れがとれないまま子どもたちを見ると神経が高まることもしばしばあった。このまま教員を続けていては体がもたない。耐えきれなくなり、職を辞することにした。
ソウルで最近、小学教師が自殺した。この原因は「悪質な苦情のためかもしれない」と語られている。ベテラン教師の心はさらに混乱してきた。
あるインターネットコミュニティに、「新規小学校教師」という利用者が、発令5カ月で公認会計士試験(CPA)の準備を始めたと投稿した。そこには次のように記されている。
「本当は教員を辞めたくない。でも人が死んでいるではないか。教員になるため一生懸命に勉強してきた友人たちも、ある人はロースクール試験に挑み、別の人は医者になろうと修学能力試験(修能試験)の準備をしている」
韓国教育開発院教育政策ネットワークの「小・中・高校教師の教職離脱意図と自主退職者増減推移」統計報告書によると、2005年の小中教師の自主退職者数は879人だったが、2021年には6594人と7.5倍に跳ね上がった。
最近の教師自主退職には教権(教師の権威)侵害が大きな影響を及ぼしているようだ。
教師労働組合連盟が今年5月、教員1万1377人を対象に実施したアンケート調査によると、87%が最近1年間辞職をするか悩んだことがあるという。
教育活動の侵害により精神科診療・相談を受ける例も少なくなかった。同じアンケートで最近5年間、教権侵害によって精神科治療または相談を受けたことがあるという教師は26.6%に達した。
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