韓国教育省による2025年からの人工知能(AI)デジタル教科書導入の方針について、韓国教育学術情報院(KERIS)が難色を示している。同院はホームページに掲載したリポートで、教科書発行会社側の見解を含め、開発日程に無理があり、良質の教材を発売するのは難しいと指摘している。
リポートは「AIデジタル教科書導入のための争点分析や開発戦略」。KERISの依頼を受け、京仁(キョンイン)教育大学のアン・ソンフン教授と順天郷(スンチョンヒャン)大学のチャ・ヒョンジン教授が今年2~4月、デジタル教科書発行会社を調査して作成した。調査対象の13社すべてが同様の見解を示し、発行会社側の苦悩が浮き彫りになった。
教育省は来年6月の検定審査を見据え、AIデジタル教科書の開発期間を約10カ月と設定した。リポートは、発行会社がガイドラインもない状態で日程だけ発表されたことに強い難色を示し、2022年の改正教育課程に合わせて良質の書籍型教科書を作る時間的余裕もないのにAIデジタル教科書の開発を迫られても困難だとしていることについても言及した。
教育省が推進中のAIデジタル教科書は、PDFファイル化にとどまっていた既存のデジタル教科書とは異なり、「AIチュータリング」を通じた学生別レベル診断と、脆弱部分に対する補充学習を支援するとしている。
ところが教科書発行会社はエデュテック企業に比べてAI技術が不足しているのが現実だ。調査によると、13社のうち、教育省が想定する知能型・オーダーメード型AIサービスを保有する発行会社は2~3の大手にとどまっている。
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