「タトゥーには罪がないですよね。罪は人が犯すものじゃないですか」。1年目のタトゥーイスト、パクさん(28)は14日午後、ソウル市麻浦区(マポグ)にあるタトゥーショップに向かっていた。梅雨のじめじめした天気が続いていたが、長袖姿の人を見つけるのが難しいほど、夏らしい日だった。
軽装ではタトゥーが見える。オンラインでは「個性だ」「芸術だ」「自己表現だ」など、肯定的な意見が少ない。一方で違和感を唱える声は多い。「組織暴力団の象徴」「入墨野郎」「入墨豚」のような従来の否定的な反応がその代表例だ。
パクさんもタトゥーイストになる前は偏見があった。鯉や虎、龍などを威圧的に体に彫った人は、無礼でクセのある人だろうと思っていた。
偏見が崩れたのはタトゥーを入れた顧客に直接向き合って施術してからだ。
「太ももに鯉の入れ墨がある男性は、家族写真を持ってきて施術してほしいと言いました。ある顧客は亡くなった愛犬の姿を彫ってほしいと言いました。顧客がタトゥーを決心した背景と意味を実感すると、私がこれまで偏見を持っていたことに気づきました」
◇「芸能人・スポーツスターのタトゥーはかっこいいが…」
パクさんは、大学でコンピューターソフトウェアを専攻した。長い就職活動を経て、会社に入ったが、1年も経たないうちに退社した。美術をやりたかったからだ。タトゥーであれ仕事であれ、結局、態度と行動が重要だというのがパクさんの考えだ。
「芸能人やスポーツ選手のタトゥーは『かっこいい』『よく似合う』と言うじゃないですか。タトゥーが問題ではなく、タトゥーを入れた人たちの考えと態度、行動が人々の認識に大きな影響を与えるようです」
保健福祉省が国会立法調査処に提出した資料によると、全国の半永久化粧やタトゥー従事者は35万人(半永久化粧30万人、タトゥー5万人)で、利用者は合わせて1300万人にも上る。韓国タトゥー協会が推算した国内タトゥー市場規模は1兆2000億ウォンに達する。
特に若年層を中心にタトゥー文化が広がっている。2021年、韓国ギャラップが成人1000人余りを調査した結果、51%がタトゥー合法化に「賛成する」と答えた。そのうち20代が賛成した割合は81%に達した。
タトゥーイストのチェさんは「日陰の文化という旧い価値観がある方々はタトゥーを好まないようだ。だが、先入観は次第になくなってきており、数年後にはタトゥーを巡る議論もこれ以上されなくだろう」と期待感を示した。
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