韓国サムスン電子が先端4ナノメートルファウンドリー(半導体の受託製造)工程でデータセンター用のAI(人工知能)半導体の顧客企業を新たに確保したことがわかった。
業界関係者によると、サムスン電子ファウンドリーは最近、データセンターに供給されるサーバー用AI半導体の生産を受注した。この半導体は、サムスン電子ファウンドリーの公式デザインハウス「デザインソリューションパートナー(DSP)」の設計を経て、来年下半期にサムスン電子ファウンドリー4ナノ工程で量産される。サムスン電子がこうした半導体企業から受注したのは今回が初めて。
今回の新規受注は最近、サムスン電子の4ナノ工程の収率が以前より安定化したという評価に沿ったものだ。
証券関係者によると、サムスン電子の4ナノ工程の収率は半導体世界大手「台湾積体電路製造(TSMC)」と同様の水準まで高まったと評価される。業界は、今年初めまで、4ナノ収率をTSMC70~80%、サムスン電子50%台と推定したが、いまではサムスン電子が75%まで高めたとみている。
サムスン電子は4月、4ナノ工程でマルチプロジェクトウエハー(MPW)サービスを開始し、4ナノ工程の収率安定化を立証した経緯がある。MPWサービスは1枚のウエハーに多様な種類の半導体を配置して作ることをいう。複数のファブレス企業の試作品をMPWサービスを通じて生産するため、MPWサービスは収率が安定してこそ、可能となる。
サムスン電子は4ナノ工程AI半導体のほかにも、5ナノでも新規獲得を果たしている。
今年2月、米国AI半導体企業「アンバレラ(Ambarella)」から自動運転車用5ナノ工程半導体生産を受注し、車両用半導体でも先端工程生産をアピールした。また、韓国ファブレス企業「リベリオン(Rebellions)」のサーバー用AI半導体「アトム」を5ナノ工程で生産する。このチップはKTデータセンターに供給される。また、サムスン電子は国内ファブレスメーカー「DEEPX」のエッジAI半導体「DX-H1」と「DX-M1」を5ナノ工程で生産する。
サムスン電子ファウンドリー事業部のチェ・シヨン社長は4日、「サムスンファウンドリーフォーラム2023」の基調演説で「AI適用分野が急速に広がり、特に多様な個別サービスに特化したエッジの爆発的な成長が予想される。サムスン電子は高性能AI半導体に特化した最先端工程と、差別化されたスペシャルティ工程、さらにグローバルIPパートナー社との、緊密で先制的な協力によってAI時代パラダイムをリードしていく」と強調している。
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