韓国で昨年、10万件以上の不妊夫婦の施術支援が実施された。しかし実際は地方自治体によって所得基準などで支援内容が異なり、患者の混乱が大きい。
最近急増している不妊患者に対する施術費支援事業の需要が大幅に増えた。昨年、不妊夫婦の施術費支援申請は10万5067件だった。2019年と比べて3万2663件も増えた。実際、支援を受けた人数は4万9208人だ。同期間に1万241人増加した。不妊と診断された患者は2021年26万3045人で、2017年に比べて約4万人以上増えた。
CHA女性医学研究所ソウル駅センター産婦人科のチョ・ウネ教授は「結婚した夫婦が妊娠できないということは、時間と費用などで想像以上の挫折感をもたらす。まるで『出口のないトンネルに閉じ込められた状態のようだ』と表現する患者もいる」と述べた。
韓国の不妊夫婦政策は「健康保険給付」と「施術費支援事業」のツートラックで進められる。例えば、新鮮胚施術の場合(1回約300万ウォン)、健康保険で患者は9回目まで施術当たり90万ウォンだけ払えば済む。ここで中位所得の180%以下(2人世帯基準で月622万ウォン)に該当すれば、最大110万ウォンの支援を受けることができる。
問題は「不妊夫婦施術費支援事業」の内容が地域ごとに異なり、公平性の問題が提起されるということだ。施術費支援事業は昨年、政府から自治体管理に移った。保健福祉省が定めた共通指針の範囲で、各自治体は予算状況に応じて追加で支援できる。
慶尚南道(キョンサンナムド)晋州市(チンジュシ)は妊娠が失敗する度に20万ウォンの激励金を与え、蔚山蔚州(ウルサンウルジュ)郡は不妊夫婦に交通費を最大100万ウォンまで支援する。このように地域別に支援内容が少しずつ違う。
予算に余裕がある地方自治体は「中位所の180%以下」という基準を廃止した。ソウル特別市と京畿道(キョンギド)、仁川(インチョン)が代表的だ。これら3地域は来月1日から所得水準に関係なく、すべての不妊夫婦に施術費を支援する。これに先立って釜山(プサン)、大邱(テグ)、世宗(セジョン)、全羅南道(チョンラナムド)、慶尚南道(キョンサンナムド)なども所得水準基準を廃止した。
一方、大田(テジョン)、蔚山(ウルサン)、江原(カンウォン)など一部地域では依然として所得基準制限を維持している。これに対し、育児関連インターネットコミュニティでは「妊娠準備をするすべての不妊夫婦に支援しなければならないのではないか」という不満の声が出ている。
地域別の支援偏差に国会予算政策処は「地方自治体の財政負担と選好度などにより発生している。不妊というのは地域の問題ではなく国家の問題であることをしっかり認識する必要がある」と明らかにした。
(c)MONEYTODAY