韓国海軍がこのほど、極地の安全保障環境の変化による将来的な韓国海軍の役割を研究するよう、国防大学産学協力団に発注した。中国が北極での影響力を拡大するのに加え、米国が「新北極戦略」を発表するなど、北極を巡る戦略的競争が激しくなっているためだ。
中国政府は2018年白書で自国を「北極近接国」と位置付けた。北極の気候変化、資源探査・開発、安全保障などは全人類的な問題であり、中国も密接な関連があるという論理だ。
中国は北極の天気と通信に対する研究を進め、大型原子力砕氷船を建造しており、ロシアと組んで北極海一帯で液化天然ガス(LNG)開発にも乗り出したという。
一方、米国は昨年10月、砕氷船艦隊を増やす目標などを盛り込んだ新北極戦略を発表した。
また、北大西洋条約機構(NATO)は4月、北極圏と接するフィンランドを加盟国として受け入れ、スウェーデンの加盟も推進して、中国とロシアを牽制している。
こうした国際社会の動きに合わせ、韓国政府も海洋水産省主導で2021年10月「極地活動振興法」を制定している。今後、韓国の極地活動の拡大も時間の問題となっている。
海軍は今回の研究で、北極の安全保障環境を分析・展望し、韓国内外の極地関連政策・活動事例をつぶさに調査・把握したい考えだ。極地活動に向けた韓国海軍の役割を、インド・太平洋戦略などと関連付けて模索する。
軍内外では最近、北東アジアの安全保障情勢が、日米韓対北朝鮮・中国・ロシア間の対立構図になりつつあるため、米国の新北極戦略と軌を一にして中国とロシアを圧迫する内容が導き出されるのではないかという展望が出ている。
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