
ホームショッピング産業が衰退すれば、放送手数料が減り、有料放送会社も共に不振に陥る危険がある。この場合、有料放送会社から代金を受け取ってコンテンツを提供する地上波放送会社、放送チャンネル使用会社(PP)にまで連鎖的に影響が及ぶことになる。
ホームショッピングは有料放送会社の資金源だ。韓国テレビホームショッピング協会によると、インターネットテレビ(IPTV)の売り上げのうち、ホームショッピング放送手数料の売り上げ(1兆3243億ウォン)が占める割合は28.6%に上る。2018年に20%を突破し、着実に上昇している。
IPTVは放送手数料のほかにも加入者から受け取る放送受信料があるが、携帯電話やインターネットなどとの料金合算払いの利用者が半分に達し、収益を出すことは難しい。実際、メディアリサーチ会社「オーメディア(Omdia)」によると、2021年の韓国の有料放送月平均ARPU(加入者1人当たりの平均売り上げ)は17.4ドルで、経済協力開発機構(OECD)主要国の有料放送全体の月平均(30.3ドル)に遠く及ばない。
総合有線放送事業者(SO)は売り上げの中でホームショッピング放送手数料(7470億ウォン)の割合が40.3%に達する。ユ・ヨンビン韓国信用評価研究員は「そもそも加入者が飽和状態だ。そのうえメディア市場においてOTTなど競争媒体が登場したため、有料放送が利益をひねり出すのは難しくなっている」と話した。
ホームショッピングから有料放送会社につながる収益構造が悪化すれば、放送全体の事業にも影響を及ぼす。有料放送会社はホームショッピングで放送手数料を受け取り、PPにコンテンツ使用料を支給する。また、放送通信発展基金の放送会社分担金約1800億ウォンのうち、ホームショッピングは毎年400億~500億ウォンを提供している。
檀国大経営学部のチョン・ヨンスン教授は次のように指摘する。
「ホームショッピングは、流通環境の変化に合わせてデジタルコマースを補完して、50~60代女性に集中している消費者層を、若い世代に拡大すべきだ。放送とコマースが結合しているという長所をどう生かすか、アイデアが必要だ」
◇行き過ぎた規制
「耳にかけるとピアス、鼻にかけると鼻掛けになるので戸惑っています」
ホームショッピング業界がなぜ斜陽産業の道を歩まざるを得ないのか。業界ではその主要原因の一つとして「行き過ぎた規制」を挙げる。
ライバル会社が雨後のタケノコのように生まれる状況で、曖昧で公平でない規制が成長を妨げているというわけだ。さらに韓国政府がホームショッピング会社に強制している「中小企業商品義務編成規制」が重なり、ホームショッピング業界の憂いはさらに深まっている。
ホームショッピング会社は政府に「放送審議」規定を明確に設定してほしいと願う。放送通信審議委員会(放審委)は「放送法」と「商品紹介や販売放送審議に関する規定(審議規定)」により放送内容を審議するが、この規定が曖昧なため、安全策をとりながら放送するほかはないというのだ。
実際、SKストアは先月、「ペク・ジョンウォンの路地裏グルメプロジェクト 母親の昔の小豆粥」の販売放送で「ペク・ジョンウォンの路地裏食堂」のロゴを繰り返し露出して審議規定第18条に違反した、という理由で「勧告」の行政指導を受けた。制裁はレベルにより▽問題なし▽意見提示▽勧告▽注意▽警告▽番組訂正・修正・中止や関係者懲戒▽課徴金――の順に分かれる。「注意」よりも厳しいものが法定制裁のレベルとなり、放送局の再認可・再承認時の減点理由となる。
SKストアが受けた「勧告」は、類似の事例が再び発生した場合、法定制裁につながるという点で致命的だ。ホームショッピング会社の生存と直結した問題という意味だ。だが、規定には「繰り返し露出」というものに対するこれといった基準がなく、今後類似した事例で法定制裁を受ける可能性が高い。
業界のある関係者は「審査委員の考えによって、似たような案件であっても結果が異なる場合が多い。具体的で明確な規定がなく、審査委員の考え方、その時の世論により制裁内容が変わる。ホームショッピング会社としては常に不安にならざるを得ない」と打ち明けた。ホームショッピング会社の販売放送が、ライブコマースなど競争プラットフォームより相対的に地味な理由はこのためだ。
審議規定に引っかからないようにするため、商品関連の説明が消極的にならざるを得ないわけだ。「健康に良い」とか「おいしい」といった簡単な表現にも、具体的な研究結果や認証がなければ制裁を受ける可能性がある。積極的な商品宣伝は、実は容易ではない。
(つづく)
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