2024 年 10月 18日 (金)
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2037年以降に「人工」モノの実用化 [KWレポート] 「血液が足りない」韓国の叫び (7)

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血液供給不足問題解決のための策として、人工血液が注目されている。世界各国が輸血に代わる人工血液の開発に乗り出し、韓国政府も幹細胞を活用した人工血液の開発に着手した。しかし、人工血液の実用化は2037年以降になる見通しだ。短期的には、輸血需要を減らすことができる高容量鉄分剤など、新しい薬剤に保険を適用させ、使用量を増やすことも対策として取り上げられている。

◇大量生産体制の確立

韓国政府は今年から2037年まで、輸血用人工血液の大量生産と実用化のための「細胞基盤人工血液(赤血球・血小板)の製造や実証プラットフォーム技術開発事業」を進めている。保健福祉省と科学技術情報通信省、産業通商資源省、食品医薬品安全処、疾病管理庁が共同で事業を遂行する。今年から5年間の関連予算は471億ウォン(約50億円)。今後、必要に応じて追加投入する。

第1段階の事業期間である2027年までに人工血液細胞分化・増殖技術を開発し、人工赤血球・血小板を5~10ml生産できるようにする方針だ。標準化された生産工程を作ってテスト生産も実施し、品質管理基準、試験法開発など、製造工程プラットフォームを構築する。実用化のための許可・管理策も整える。

2027年から2032年までの第2段階では、人工赤血球・血小板製剤を1~2ユニット生産し、臨床試験を支援する。規制基盤も構築する。第3段階の2032年から2037年までは人工赤血球・血小板製剤を一度に50~100ユニット生産する大量生産体制を構築し、血液安全管理体系を確立する。政府は、2037年には人工血液が実際に使えるようになると期待している。

◇新薬の保険適用

保健福祉省のキム・ヨンハク再生医療政策課長は「人工血液は、少子高齢化による献血血液の構造的な需給不均衡を先端再生医療技術で解決しようとする挑戦的な課題だ。再生医療振興財団のキム・ヒョンオク首席専門委員が事業団長を務める『細胞基盤人工血液技術開発事業団』が、事業を推進する」と述べた。

すでに海外では韓国より先に人工血液の技術開発に取り組んでいる。昨年11月、英国ではブリストル大学の研究陣が幹細胞を利用して実験室で培養した人工血液の世界初の臨床試験に入った。日本では2021年、京都大学で創業したメガカリオンがiPS細胞由来の血小板を作って患者に投与し、安全性を立証した。

しかし、今も人工血液が商用化されていないため、専門家は「短期的な解決策として輸血量を減らすことができる新薬の保険適用化が必要だ」とみる。

大韓患者血液管理学会のキム・テヨプ会長(建国大学病院麻酔痛症医学科教授)は「手術前の貧血の最も一般的な原因である鉄欠乏性貧血は、手術前の治療が有効で、手術中の輸血量減少に大きく寄与する高単位静脈鉄分治療剤などの薬剤使用を保険の適用項目に含めるべきだ。患者の貧血の原因や、輸血に代わる適正な代替治療を手術前に実施するかどうかも把握し、医療機関別に比較しなければならない」と指摘する。

高単位静脈鉄分治療剤としてはJW中外製薬の「フェリント」と、韓国パンビオの「モノファー」などがある。これは無輸血手術の中心的な医薬品として産婦人科の帝王切開、婦人科癌手術や整形外科の人工関節、脊椎疾患手術で主に使われている。使用率を高めるためには、保険適用化が必要だ。

(おわり)

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