盗作疑惑の解決に向けた重要な当事者は、実は作曲家ではなくアーティストだ。著作権者ではなく、より影響力と認知度、波及力を持つアーティストがカギになるのだ。
もっとも、アーティストは著作権者ではないため、自ら解決に乗り出すことはできない。ただ、そうした問題に対する見方や姿勢によって、アーティストとしての地位と真価が変わる。
歌手のイ・ヒョリは2枚のアルバムで、作曲家の相次ぐ盗作疑惑に巻き込まれた。
だが、事態収拾に向けた動きは早かった。音楽活動には相当な傷を負ったが、冷静に認める部分は認めるという姿を見せることによって、多くの人から支持を受けた。
◇歌手としての義務
歌手イ・スンチョルの場合は、ファンからの批判をより細心かつ積極的に受け入れた。
2006年に発売された「叫べ」は、イ・スンチョルの新たなチャンスを呼ぶ重要な曲だった。しかし、発売から2日後、人々がギャレッス・ゲイツ(Gareth Gates)の「リッスン・トゥ・マイ・ハート(Listen to My Heart)」とサビが似ているとして盗作疑惑を提起すると、何の釈明もせず、著作権をホルヘン・エルロフソン(Jorgen Elofssen)とジョン・リード(John Reid)に譲渡した。
「叫べ」は、ホン・ジニョンという新鋭作曲家が作った曲で、結果的に似た一部のサビのために渾身の力で書いた曲をすべてダメにするしかなかった。
曲はイ・スンチョルが作ったわけではない。だが、全般的な責任は歌手にあるとして、歌手としての義務を果たした。時が経てば、人々は曲の作り手ではなく、歌い手だけを記憶するからだ。
◇問われる責任と良心
曲が多くなるほど、歌手としては、作曲家の音楽をより丁寧に比較・調査して曲を選定すべきだろう。歌手ハン・ヨンエは「どこか少しでも聞いた曲ならすぐ楽譜を破った」と話す。
盗作問題が相次ぐ背景には、検証の不十分さがあるのではないかという批判も上がるようになった。
当時は知らなかったとしても、その後に広がった原曲を聞いて人々はどんな感じを持つのか。「曲はひたすら作曲家のものだと強調し、沈黙で一貫し続けるのか」。人々はそこに強い不信感を持っている。
IUの盗作疑惑が、作曲家の釈明や言い訳で終わるとは思えない。彼女は曲を作ってはいないが、多くの人々は「彼女」の責任と良心を問うている。特に「Good Day」は、、無名に過ぎなかったIUを大スターに引き上げた歌だ。
当時、盗作疑惑など誰も指摘せず、その曲のパワーでスターの地位と人気、富を得た。
盗作疑惑が広がった今、良心と名声は失われてしまうのだろうか。
(おわり)
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