プロンプトにどれだけ習熟しているかによって、業務能力と成果に大きな差が生じる――。
韓国で最近発刊された「チャットGPT使用説明書」の著者、ソン・ジュンヨン氏(ソン&パートナーズ代表)はチャットGPTサービスの初期から国内最大チャットGPTコミュニティ「Chat GPTers」のモデレーターとして活動し、プロンプトの重要性を強調してきた。
プロンプトをどのように使うかによって、得られる結果が違ってくる。
ソン・ジュンヨン氏は次のような見方を示す。
「“チャットGPTが嘘をつく”と言って、AI側の責任にする人が多い。だが実は、これはインプット(input)、すなわちプロンプトが適切ではないからだ。自分が受け取る結果は、自分が書き込んだプロンプトに左右される。すなわち、すべての成果物の責任は自分のプロンプトにある」
◇良いプロンプトは「SURF構造」
そもそも、チャットGPTのような生成AIの歴史は短い。使い手は生成AIとの対話、すなわちプロンプトをまだうまく使いこなせない。
ソン・ジュンヨン氏によると、「良いプロンプト」とはSURF構造に従って作成されたものだという。「S」「U」「R」「F」は次の言葉の頭文字だ。
▽S=Subject(主題)
▽U=Understand(テーマを理解するための脈絡)
▽R=Record(希望する結果値の個数)
▽F=Format(希望する形式)
例えば、「レストランのSEO(検索エンジン最適化=特定のウェブサイトを検索の上位に露出しやすくするための手法)マーケティングのためのブログのトピック10個をリスト形式で書いてください」というプロンプトをSURF構造に分けてみると、次のようになる。
▽S(主題)=「ブログのトピックを書いてください」
▽U(脈絡)=「レストランのSEOマーケティングのための」
▽R(結果値)=「10個」
▽F(形式)=「リスト形式で」
われわれは会話の際には文法を意識しないが、プロンプトを書く際にはこうした構造を意識する必要がある。「外国語を話す、書く練習に似ている」(ソン・ジュンヨン氏)というわけだ。
特に「U」をいかにうまく書くかが良いプロンプトを作るための決め手となる。
チャットGPTが、自分だけの例示でカスタマイズされた回答ができるマシンラ―ニングモデルであるためだ。
プロンプトに脈絡と関連した資料をいくつ提示するかによって、その方法は次の三つに分かれる。
▽ゼロショットラーニング(Zero shot learning)
▽ワンショットラーニング(One shot learning)
▽フューショットラーニング(Few shot learning)
例えば、カモとガチョウなどといった「似たようなモノ」をAIに区別するように指示する。その際、二つの動物の写真を示さない状況を「ゼロショットラーニング」という。写真1組なら「ワンショットラーンニング」、2組以上なら「フューショットラーニング」となる。
もちろん「ゼロ」より「フュー」のほうが、より正確な答えを得ることができる。だが、チャットGPTに入力できるプロンプトの長さは限られている。有料サービスの場合、プロンプトの長さによって価格が決まる。そのため「フュー」を無制限に使うことはできない。「最適な結果を得られるフューショットラーニング技法のプロンプトを作成することが重要となる」。ソン・ジュンヨン氏はこう強調する。
(つづく)
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