企業としての存続能力に疑問を投げかけるほどの深刻な不確実性が存在する――。
今月12日公示されたOTT(オンライン動画サービス)「ウォッチャ(WATCHA)」の監査報告書で、外部監査である新韓会計法人がこう記載した。視聴者を獲得するためにコンテンツ投資を増やし続けたものの、結局、視聴者は増えないか、時には離れていくか――こんな韓国OTTの冷酷な現実が浮かび上がっている。
国内OTT事業者は1年前までは「1~2年以内には黒字を出すのではないか」という希望を語った。しかし、状況は好転するどころか、さらに悪化した。「ティービング(TVING)」「ウェーブ(Wavve)」「ウォッチャ」の3社の営業損失合計は2020年の385億ウォン(1ウォン=約0.1円)から2021年には1568億ウォン、昨年は2959億ウォンへと雪だるま式に増えた。
しかし、利用者数は「エンデミック」と共に足踏みするか、むしろ減っていく流れだ。
それでも国内OTTはオリジナルコンテンツ投資の他に目立った代案を見つけられずにいる。投資が増えるほど赤字幅も大きくなる。この状況を数年間見てきたのに「自転車のペダルをこぐのを止めれば倒れるという恐怖」に駆られているというのが業界の雰囲気だ。
韓国国内で金を稼ぎ出しているOTTは、グローバル事業者である米動画配信大手「ネットフリックス(Netflix)」が唯一だ。
韓国法人ネットフリックスサービスコリアの昨年の売り上げは7732億ウォン、営業利益は142億ウォンだ。これさえもコンテンツ原価を調整して莫大な収益を海外に移転し、利益を減らして法人税を減らそうとする「小細工」をしているという疑惑を受けている。K-コンテンツへの投資も大胆だ。世界2億3000万世帯の視聴者を確保しているネットフリックスには「コスパ」の高い投資先だ。
◇「合従連衡」の提案
OTT業界は、いまは「利用者だけが幸せな時期」であると認識している。
利用者らはトレンドを追うために見るべき作品はあふれ、「時間が足りない」と不満を漏らす。それで韓国人はハングル字幕に1.5倍速ストリーミングを選ぶ。10回分のドラマを60分の「ユーチューブ要約本」で楽しむ。多くのOTTをすべて見るのは高いので、映像違法ストリーミングサイト「ヌヌTV」を見ている。コンテンツ過剰が生んだ「非正常」な状況だ。
需要・供給の法則はK-コンテンツ産業だからといって例外ではない。
在来OTTはネットフリックスとオリジナル大作で競争する戦略を根本的に修正すべきだ。
OTT業界が必要性を認める「プラットフォーム統合」を実行に移し、効率性を高めるべきだ。
ウェーブの親会社であるSKスクエアのパク・チョンホ副会長も先月、記者団に「ウェーブのコンテンツが面白ければウェーブに加入し、ティービングが面白ければティービングに加入する今の状況は、ユーザーの立場からとても不便だ。合従連衡によって業者数を減らすべきだ」と述べた。
こうした状況の中で、ネットフリックスと本格的に対決するため、アジア圏など海外進出を急がなければならない。視聴者の範囲を海外に広げ「規模の経済」を実現しなければOTTには未来がない。
同じ金をかけて2億3000万人が見るネットフリックスと、数百万人だけが見る韓国OTTの勝敗は明らかだ。
「後ろ盾」になってくれる親企業のないウォッチャの危機は、ライバル会社にも遠からず訪れる。【MONEYTODAY ピョン・フィ記者】
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