高齢者が運転する権利を保護する。同時に、道路上の安全を担保する――これは韓国だけでなく、世界各国の課題だ。「高齢ドライバー」として分類する年齢基準は、65~79歳と国別に異なる。だが、運転免許の更新に合わせて身体機能をチェックしたり、運転実技評価など別途規制を設けたりする流れは各国とも似ている。
◇健康診断書・事故歴を考える米国
米国は州ごとに基準が異なるが、ほとんどに高齢ドライバー安全規制(Senior Drivers regulation)がある。医師が作成した健康陳述書を提出するのが代表的だ。つまり、運転できる身体状態だという事実が明示されなければならない。身体に不調がないか、記憶力や柔軟性に異常がないかを記録するのが一般的だ。免許更新前の1年間の発作履歴なども確認する。
事故歴にも目を向ける。65歳のドライバーが6~9カ月間に3回以上交通事故を起こした場合、書面と面接評価を受けなければならない。車両管理局(DMV)は高齢ドライバーの身体状況に応じ、免許証に運転可能な別途の条件を表記する。例えば▽高速道路の運転制限▽車両に身体機能の一部を補完する特殊装置を設置▽追加サイドミラーの装着――などを明示する。
テキサス州では、79歳以上のドライバーを対象に免許の更新可否を別途審査する。視力検査と病歴の内容、健康状態などを専門家の陳述をもとに州政府に提出しなければならない。この審査を通過すれば79~84歳まで最大6年間の免許がもらえる。85歳からは2年ごとに再審査を受けなければならない。
イリノイ州の場合、75~80歳のドライバーは4年ごと▽81~86歳は2年ごと▽87歳以上は毎年――それぞれ免許を更新しなければならない。対象者は道路走行試験を義務づけられ、一般免許不適格と判定されれば、運転時間帯や地域が制限された限定免許に変更される。
◇医療陣の評価導入を目指すEU
欧州連合(EU)は2016年、高齢ドライバーに関する報告書を通じてガイドラインを発表し、加盟国が国内法と制度に合わせて適用するよう勧告している。2050年には65歳以上の人口が1億4700万人と、EU全体の26%を占めるとして、道路安全規則が必要だと見たのだ。
現在、加盟国間での高齢ドライバーの免許中止・運転制限などを明示する「統一された協定」の締結が提案されている。
医療スタッフの評価と運転機能試験の導入、別途の高齢ドライバー対象の教育プログラムの強化などに関する内容が中心だ。また、警察が高危険運転者を識別し、運転能力テストを実施できるようにすべきだという立場も取っている。
◇1~2年ごとに運転適合性評価
オーストラリアとニュージーランドの両国でも、75歳以上のドライバーに対する別途の検査制度が設けられている。
オーストラリアのニューサウスウェールズ州は、75歳以上は毎年、運転適合性に対する医療評価や運転実技評価を受けるよう義務付けた。運転実技評価を受けていない高齢者の場合、長距離運転が制限され、地域内でのみ運転可能な限定免許を発給される。
ニュージーランドは75歳から免許更新を2年ごとにした。この際、医師による運転免許用診断書を添付しなければならない。医師の判断で医学的に運転に問題がないとされても、安全運転能力を担保できない場合は道路安全試験(On-road safety test)の通過条件を明示することもある。特定の条件が提示された診断書を発給された高齢者には、限定免許が発給される。
(つづく)
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