懲役・禁錮・拘留などの刑が確定したのに刑務所に行かない「自由刑未執行者」たち。彼らが街を闊歩するのを防ぐため、制度的装置を補完すべきだという声が高まる。
自由刑未執行者は大幅に増えている一方で、彼らの身柄を確保する業務担当者が非常に不足している。特に、彼らを効果的に捕まえる手段もない。
◇裁判所と検察の足並み
現行法体系上、容疑者や被告に対する強制捜査は、裁判所の許可を通じて可能だ。しかし、刑が確定した自由刑未執行者に対しては強制捜査ができない。現行の刑事訴訟法上、家宅捜索は刑が確定していない容疑者・被告のみを対象にしているためだ。
検察の立場では、捜査を通じてどこに隠れているのかを特定しても、出てくることを待つしかないということになる。
また、公判中に逃走した被告は、後日、被告が法廷に出席しない状態で進められる「欠席裁判」で刑が確定し、自由刑未執行者となる例が多い。彼らの身柄を早期に確保することが重要だが、実務の段階で裁判所と検察の足並みが合わないことが繰り返されており、改善を求める声も上がっている。
こうした状況は、無罪推定の原則の適用を受ける容疑者や被告に対しては強制捜査は可能なのに「裁判所が犯罪を認定し、刑を確定させた人」に対しては強制捜査は不可能――そもそもこの理屈自体が不合理だという指摘にもつながる。
◇隠れ家を目の前にしても、強制捜査できず
通信会社に要請して通話内訳などの資料を提供してもらうことはできる。だが潜伏先を特定するには物足らない。このため、検察が通話内訳に出てきた主な通話相手や住居地の近隣住民に聞き込みをかける方法で、潜伏先を絞り込んでいるのが実情だ。
潜伏先が特定できても、捜索令状がないため、ドアを開けて強制的に立ち入ることはできない。家主の協力を受けたり、外で自由刑未執行者が出てくるのを待つしかない。
捜索令状の発行が可能になれば、自由刑未執行者の住居地に入って潜伏先と関連した資料も押収でき、潜伏先把握時に直ちに逮捕手続きに入ることができる。
たとえば、不良ファンド販売で投資家に1兆6000億ウォン台の被害を与えた「ライム資産運用事件」で罪を問われたスターモビリティのキム・ボンヒョン元会長。昨年12月、裁判中に逃走して逮捕された。この時、49日間に50回、捜索令状が執行され、消防当局の協力も得て、潜伏先に強制的に入ることができた。
もしキム・ボンヒョン元会長が刑確定後に逃走していたなら、捜索令状の発布は受けられず、逮捕が事実上不可能になっていたという見方もある。
自由刑未執行者関連業務を担当するある検察関係者は次のように指摘する。
「いまは強制捜査ができず、とても業務が非効率になっている。今の方法を続ければ“処罰を受けた”という事実を周辺の関係者に知らせざるを得ず、人権侵害的要素が多くなってしまう」
業務担当者数も足りない。
韓国全土で現在、検察庁の自由刑未執行者関連業務の担当者は計137人だ。昨年発生した自由刑未執行者は5912人に上る。計算上、1年に担当者1人当たり約43人の所在地を追跡しなければならない。
(つづく)
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