「紡織機、自動車、コンピューター、スマートフォンなどの技術は、世界中の産業を革命的に発展させてきた。量子技術も、世界中の産業をさらに一段階、跳躍させる」
与党「国民の力」のパク・ソンジュン議員はMONEYTODAYとの取材でこう述べた。パク議員は今年1月、「量子技術や量子産業集中育成に関する法律」制定案を代表で発議した。
この法案は、韓国科学技術情報通信省が、量子技術や関連産業を育成するための「量子発展戦略」を5年ごとに策定することを骨子としている。現在、国会科学技術情報放送通信委員会法案小委で審議されている。
韓国政府が責任をもって中長期的に量子技術を発展させるのが法案の狙いだ。法案にはこの他にも▽技術開発▽商用化促進▽標準先取り▽企業支援▽人材養成▽研究拠点やクラスター構築▽国際協力――などに関する内容が盛り込まれている。
パク議員は「量子技術育成は、韓国の安全保障にも直結する核心技術であり、大きな異論はないと理解している。野党との協議を通じて法案を通過させる」と意欲を示した。
◇「量子技術、世界産業に跳躍させる…」政策を一貫すべきだ
パク議員が量子技術に注目するのは、量子技術が第4次産業革命をリードする「ゲームチェンジャー」になりうると見ているためだ。
量子技術を活用したコンピューティング演算速度は、スーパーコンピューターとは比較にならないほど速い。現在、米国や中国を含む先進国が先を争って開発のために多くの努力を傾けており、「韓国も国家の総力を傾けなければならない」(パク議員)と求めている。
パク議員によると、量子コンピュータの演算速度の速さによって、人類の生活の転換点になりうる人工知能(AI)、超連結通信、自動運転など第4次産業革命のあらゆる分野が、高い水準に引き上げられるという。量子コンピュータを利用した新素材開発などを通じ、ハードウェア部門でも成果を引き出すことができるそうだ。
米国は今後10年間、量子研究集中支援プログラムを樹立する義務を大統領に付与する法を作り、今後5年間で12億ドル(約1561億円)を支援する。中国は「国家中長期科学技術発展計画」国家戦略6大分野の一つに量子技術を選定し、毎年17億1700万元(約326億円)を投資するそうだ。
ただ、韓国の場合、「情報通信振興や融合活性化などに関する特別法」に量子技術関連の一部条項があるだけで、量子技術と産業を総合的かつ安定的に育成するための法的基盤は乏しいという。「こうした現状をふまえ、量子技術開発支援のための専門担当部署を新設したユン政権とも歩調を合わせ、今回の法案を代表で発議した」(パク議員)だそうだ。
パク議員は、量子技術など先端科学分野の人材不足問題を解決するために努力することも明らかにした。「現在、科学技術分野に専門人材が不足しているのは量子技術分野だけに限定されたことではない。優秀な人材が基礎科学を含む科学技術分野に流入しないのは、単純な理由からではなく、米国と日本など海外の政策を分析しなければならない」
(つづく)
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