韓国芸能大手SMエンターテインメントの経営権確保を巡りカカオとHYBE(ハイブ)が「銭の戦争」を繰り広げたなか、「勝者はイ・スマン元SM総括プロデューサー」ではないかという評価が出ている。ただし最近の株価急騰でカカオの公開買収価格が15万ウォン(1ウォン=約0.1円)という点からすれば、12万ウォンで持分14.8%を売り渡したイ前総括が「安く売った」という評価もある。
◇持分買収競争は終了
HYBEはSM買収手続きを中断することにした。HYBEはカカオ、カカオエンターテインメントとの競争によって市場が過熱していると判断し、HYBEの株主価値にも否定的な影響を及ぼしかねないという点を総合的に考慮したと説明した。
同日の決定で、カカオとHYBEの持分買収競争は終了した。カカオとカカオエンターテインメントはすでに買い入れたSM株式4.9%に26日まで続ける公開買収によって35%を追加で買い入れ、計39.9%を確保し筆頭株主に上がる計画だ。
今回の経営権紛争はカカオとHYBEともに大金を使ったという点で「銭の戦争」と呼ばれた。HYBEは先月、イ前総括の持分14.8%を4228億ウォンで買い入れた。イ前総括と家族が保有しているSM子会社ドリームメーカーやSMブランドマーケティング持分の700億ウォンの買収を含めれば、約5000億ウォンに達する金額だ。
このため、系列会社から3200億ウォンを短期借入した。ESG(環境・社会・支配構造)事業に10年間で100億ウォン支援と、イ前総括の残った株式3.6%の買収請求権付与に対する契約も残っている。
◇カカオ「資金問題はない」
カカオも先月、持分9.05%を約2170億ウォンで買い入れたのに続き、26日までにカカオエンターテインメントと共にSM持分の最大35%を1株当たり15万ウォンで買い入れることにした。総買収金額は1兆2500億ウォンで、カカオとカカオエンターテインメントが半分ずつ投入する。
一部ではカカオの資金問題が指摘されたが、カカオは問題ないという反応だ。カカオの現金保有高は昨年12月末の連結基準で約4兆8000億ウォンだ。ここに短期金融商品約1兆2000億ウォンを加えれば、約6兆ウォンの現金性資産を保有している。また、年明けにサウジ政府ファンドなどから1兆1500億ウォン規模の資金を調達したが、このうち他法人取得資金として5800億ウォンを配分した。投資金のうち9000億ウォンは先月24日、カカオに納入された。
カカオの持分15%以上(15.78%)を保有しているHYBEは、公正取引委員会に企業結合を申告しなければならないのも負担だ。これに対し、HYBEがカカオの公開買収に応じることもできる。資本市場法上、カカオは公開買収を施行して6カ月以内にブロックディールの形で持分を取得することは制限される。ただし、HYBE関係者は会社が保有しているSM持分の行方について「現在具体的に決定されたことはない」と明らかにした。
◇「結果に皆が満足」
結局、SM持分戦争の勝者はイ・スマン元総括という評価が出ている。イ前総括が望む金額として知られた8000億ウォンレベルに達しなかった点、最近株価急騰でカカオの公開買収価格が15万ウォンに達するという点で「もっと高く売ることができたのに」という見方もある。ただし短期的には「持分競争」という株価上昇要因が消え、株価が急落する恐れがあるという点でイ前総括の取引は「成功だった」と評価される。
金融投資業界のある関係者は次のような見解を示している。
「SMの株価が、カカオ公開買収が終わってHYBEとカカオの持分買収前に回復する可能性があるという点を考慮すると、イ前総括の取引は損をする商売ではなかったと思う。勝者の呪いに陥った会社がないという点、今後協力を通じてカカオ、HYBE、SMいずれも成長できるという点で、競争の過程は騒がしかったが、結果は皆に満足するものと見られる」
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