韓国政府が新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一時的に許容していた非対面診療を制度化すると明らかにした。だが制度化を求めてきた産業界では不満の声が出ている。非対面診療の許容範囲を再診患者、医療ぜい弱地患者などに制限したからだ。業界は現行の非対面診療より範囲が制限されるだけに、制度化がむしろ新たな規制を生むと批判している。
保健福祉省が最近発表した「バイオヘルス新産業規制革新方案」によると、政府が推進する非対面診療は対象を再診患者と島しょ部・在外国民・感染症患者など医療ぜい弱地域の患者を中心にしている。制度が施行されれば、感染症予防法による現行の非対面診療は中断される見通しだ。
これに業界は不満を示している。遠隔医療プラットフォーム「ドクターナウ」の関係者は「非対面診療が普遍化し、現在、風邪、アレルギー、消化不良など軽い症状の初診患者が相当数を占めている。再診患者だけに限定すると、彼らは非対面診療を受けられなくなる」と述べた。
コリアスタートアップフォーラム傘下の遠隔医療産業協議会によると、非対面診療は韓国を除いた経済協力開発機構(OECD)37カ国のうち32カ国が許可している。これらの国の全体診療のうち、非対面診療の割合は推定10%以上。主要7カ国(G7)の中では非対面診療を再診患者に限定した国は1カ国もない。日本、フランス、オーストラリアなどが一定の制限を設けてはいるが、いずれも初診患者の非対面診療を認めている。
新型コロナウイルス感染拡大後、世界保健機関(WHO)が非対面診療を推奨し、米国は農村居住者、末期腎臓疾患者などに限られていた非対面診療の対象を広げた。日本も2020年4月からは初診患者もオンライン診療が可能になった。
業界は遠隔医療産業協議会などを中心に政府・医療界と協議し、より多くの国民が非対面診療サービスを受けられるよう診療対象を拡大する計画だ。
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