Startup Story ~~ 成功のカギ
ハイローカル ユン・ジョンホ代表
米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)のドラマ「イカゲーム」など韓流コンテンツが世界中で脚光を浴び、韓国語を学ぼうとする外国人が増えている。吹き替えや字幕では完全に楽しめないと感じているだけではなく、韓国文化そのものを理解するためだ。
だが、増加する韓国語学習の需要に比べ、海外の教育施設は非常に不足している。海外で韓国語を学べる代表的な機関である世宗(セジョン)学堂は現在、世界で待機者が1万人を超えている。
これを、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた「エデュテック(EduTech)」のプラットフォームで解決しようとするスタートアップ企業がある。外国語会話教育プラットフォームを運営する「ハイローカル(hiLokal)」だ。ローカルに「C」ではなく「K」を書いたのは「韓国(Korea)から始まった」という意味を込めたという。
「アンニョン、現地人」という意味のように、ハイローカルは音声ベースのチャットルームを開設し、ネイティブと外国人のマッチングを経て教育へ――という段取りをサポートするプラットフォームだ。
一見すると、音声ベースのソーシャルメディアで、今年初めに大ブームを巻き起こしたクラブハウスと似ている。だが、決定的な違いは、エデュテックを加えたという点だ。クラブハウスが対話中心のSNSプラットフォームだとすれば、ハイローカルは徹底的に言語教育の市場だけにターゲットを絞った教育アプリである。
「私たちは言語教育についてだけを深く掘り下げています。言語教育の核心は、対話の絶対量です。クラブハウスでもこれは可能だと言いますが、結局は『楽に対話を練習できる』プラットフォームを選択するしかないのです」
これがユン・ジョンホ代表の解説だ。
ハイローカルの成長の勢いが、この自信を裏付けている。今年6月のアプリ発売から、たった4カ月で累積10万人のユーザーを確保し、毎月2倍の成長を記録している。最近では米シリコンバレーの投資会社から初期投資の確約を得たとユン代表は力を込める。
◇Kドラマ吹き替え・翻訳の限界、ハイローカルが理解を助ける
ユン代表が自身のスマートフォンを通じ、ハイローカルのアプリを起動する。そこには既に複数の対話チャンネルが開設されていて、授業を進めていた。チューター1人と受講生1人が参加の1対1方式や、チューター1人と多数の受講生が参加する形式もある。
多国間の対話では、チューターが一部の受講生だけに発言権を与え、一部は聞くだけということにしている。この先、英語、スペイン語、中国語の教育も始める予定にしているが、今は韓国語に集中した教育を提供している。
ユン代表は「成長戦略上、ブームが起きている市場=韓国語に集中しています。10~20代の利用者が最も多いですね。国別にはフィリピン、インド、米国の順に利用者が分布しています」と解説する。
韓国語のチューターは、主に海外経験のある韓国人が担う。「海外で外国人の友達に英語や他の外国語の学習を助けてもらったことがある方の中で『私も韓国語の勉強を助けたい』という方がチューターとして参加する場合が多いです」(ユン代表)
外国の受講生たちは、Kドラマを理解するのに大きく役立ったという。アプリ内でドラマの授業を多くし、翻訳文では理解できなかった部分を質問し、そのあと、しっかり理解できるようになった――こんな事例が非常に多いそうだ。
ハイローカルで地道に韓国語教育を受けたある英国人は、アプリを通じて韓国人の友人を作り、最近、韓国を訪れた時に、彼らから国内で多くのサポートを受けたそうだ。
年末までに50万人の利用者を確保し、来年6月までには100万人に増やす計画だ。時間や場所の制約もなく、たくさんの対話ができるようにサポートする。研究・開発中の人工知能(AI)の言語矯正技術をつけて、質の向上も引き出すことを目標にしている。
「韓国人と直接つながって韓国語を学ぶ市場があまり存在しません。BTSやBLACKPINKなどエンタメコンテンツだけで接している海外ファンを、実際に韓国語チューターとマッチングさせて、きちんと韓国語や韓国文化を学べるようサポートしていきたい」
ユン代表はこう抱負を語った。
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