彼らはなぜ韓国に来たのだろうか。
韓国国内のスタートアップコミュニティ「ソウルスタートアップ」を運営する「サウスベンチャーズ(SOUTH VENTURES)」のマルタ・アリナ(Marta Allina)理事=ポーランド出身=は「外国人スタートアップ(予備)創業家たちは大きく2種類に分かれる」と解説する。
一つ目は、海外から創業アイテムを思い浮かべて韓国に入ってくる場合だ。「韓国市場は米国、中国のように大きくはないが、ICTインフラが優れており、アーリーアダプター(流行に敏感で、自ら情報を収集し判断する人たち)が多いという長所がある。サムスン、LGなど大企業も多く、オープンイノベーション(他社との間でアイデア・技術を相互に活用しイノベーション創出を目指す)を期待して韓国に来る場合もある」
K-スタートアップ・グランドチャレンジ(韓国中小ベンチャー企業省が2016年に始めた外国人創業プログラム)などを通じて、韓国行きを選択するケースがこれに該当する。
二つ目は、留学や結婚、駐在員などで韓国に定着して生活し、創業を選択する場合だ。「実はこのタイプが大部分。韓国生活中に事業アイテムを探し、創業に挑戦するタイプ」だそうだ。
西江(ソガン)大学の学生創業企業「VHP」や、サムスン電子の社内ベンチャー「TagHive」などが代表的だ。それぞれブラジル、インド出身の代表らが設立したスタートアップだ。
ソウルスタートアップは、こうした背景が異なる外国人起業家が集まって組織され、それぞれの成長を目指す。
IRイベントや韓国政府支援事業説明会なども実施し、今年初の政策説明会は「オアシス(創業移民総合支援システム)」などビザ関連の説明会として予定されている。
◇前向きな変化、拡大したい
ソウルスタートアップの目標は、単なる「外国人創業家の定着」ではなく、「韓国スタートアップ環境をグローバルにすること」だ。
韓国中小ベンチャー企業省は今年、スタートアップグローバル化政策の一環として、インバウンド創業活性化を追加している。昨年末には、同省関係者がアリナ氏らと懇談した。
アリナ氏は「韓国のMZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)はすでにグローバルマインドを持っている。政府・企業の幹部らはまだ閉鎖的なので心配だったが、雰囲気が最近、開放的に変わりつつある」とみる。
ソウルスタートアップは引き続き、外国人創業家支援を強化していく方針だ。今年は「ソウルスタートアップ」に続いて、南部地域を中心とした「サウスサイドスタートアップ」を組織する計画だという。
釜山・蔚山・慶尚南道にも外国人スタートアップが増加中という。アリナ氏は「外国人ネットワークの範囲を広げ、K-スタートアップ環境の前向きな変化を拡大していく」と意気込んでいる。
(おわり)
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