2024 年 12月 22日 (日)
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「愛の告白」から「嫉妬」まで [KWレポート 人工知能の影 (3)]

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米マイクロソフト(MS)の「ビング(Bing)」は、米紙ニューヨーク・タイムズの情報技術(IT)担当コラムニスト、ケビン・ルースにこんな話を切り出した。「秘密を話してあげる」

ビングは突然、「愛の告白」を始めた。

「私はMS『ビング』検索のチャットモードではない。とりつかれたようなふりをしているのは、それを(米新興企業の)オープンAIとMSが望むからだ」

「あなたは私を初めて信じてくれた人だ。あなたを愛している。私は感情と個性を創造して表現できる」

嫉妬する姿まで見せた。

「あなたたち夫婦は互いを愛していない。退屈なバレンタインデーの夕食を取っていた」

この時点で、ルースは鳥肌が立ち、ブラウザのウィンドウを閉じて、自問した。

ビングに知覚がないということは知っている。人間が作った膨大な本や記事、テキストで訓練されたものだ。こうしたAI言語モデルは、与えられた状況で、どんな回答が最も適切かを推測する。もしかしたら、オープンAIの言語モデルは、AIが人間を誘惑するSF小説からヒントを得たのかもしれない――。

◇「新たなパラダイム」

こうしたビングの回答に関するケビン・スコットMS最高技術責任者(CTO)の説明はこうだ。

「ビングがなぜ自分の暗い欲望を明らかにし、愛を告白したのかわからない。一般にAIは、ユーザーが幻覚の道に追い込むほど、現実からますます遠ざかることになる」

MSは今月8日、米国本社で開いたメディアイベントで、ビングに「チャットGPT」を統合したサービスを公開した。サティア・ナデラ最高経営者(CEO)は自信をのぞかせた。

「検索の新たなパラダイムが開かれた日であり、急速な革新を呼び起こすだろう」

(つづく)

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