韓国の「国民酒」とされる焼酎とビールの価格が今年、またもや上がるとの観測が出ている。酒税が昨年より大幅に上がるうえに原材料や資材の価格上昇傾向が続いているためだ。「まもなく食堂で焼酎1本6000ウォン(1ウォン=0.1円)と書かれたメニューを見ることになるだろう」という嘆きも聞こえる。
企画財政省が先月発表した税制の改正案によると、4月からビールにかかる税が昨年より1リットル当たり30.5ウォン上がり885.7ウォンになる。昨年1リットル当たり20.8ウォン上がったばかりなのに、それより引き上げ幅は大きい。
ビールの税のアップは酒類会社の出庫価格の引き上げに直結する。資材価格と物流費、電気料などが上がり続けていることも出庫価格の引き上げ要因となる可能性が高い。
焼酎はビールのように酒税が引き上げられるわけではないが、原価負担が出庫価格の引き上げをあおっている。
焼酎は酒精(エタノール)に水と甘味料を混ぜて作る。国内10社が供給する酒精を一手に扱っている大韓酒精販売は昨年、酒精価格の10年ぶりの引き上げに踏み切り7.8%値上げした。
それにもかかわらず、酒精会社は原材料であるタピオカの価格と製造過程に必要なエネルギー価格の上昇などで実績が急落。真露発酵とMHエタノールは昨年の営業利益が前年よりそれぞれ66.6%、6.0%減少した。
さらに瓶メーカー各社は最近、焼酎瓶の供給価格を1本当たり180ウォンから220ウォンへと20%以上引き上げる計画をメーカー側に通知した。
消費者の感情から酒類価格を簡単に引き上げることはできなかったが、酒類業者は昨年、焼酎とビールの出庫価格を3~6年ぶりに一斉に上げた。数年間積もった値上げ要因をまとめて価格に反映したかたちだ。
これに伴い、販売店や食堂での焼酎価格はさら大幅に上がる見通しだ。実際、昨年焼酎1本当たり出庫価格が85ウォン程度上がると販売店とコンビニの販売価格は1本100~150ウォン値上げされた。食堂などではこれより値上げ幅がさらに大きくなる。統計庁によると、食堂で販売された焼酎・ビールの価格上昇率は先月10.2%だった。
昨年、外食産業研究院が飲食店経営者130人を調査した結果、55.4%が焼酎出庫価格の引き上げによって販売価格を値上げする予定だと答えた。既に引き上げた経営者らは値上げ幅が1本500~1000ウォンという。
ただ▽ハイト真露▽OBビール▽ロッテ七星飲料――など酒類業者は出庫価格引き上げに慎重な立場だ。景気鈍化の懸念などで消費者心理が萎縮し、追加で価格を引き上げるのは容易でないという雰囲気も業界に流れている。
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