「昨年12月に264万ウォン(約27万円)まで高騰して、1月には362万ウォン(約38万円)になりました」
ソウル市冠岳(クァンアク)区で宿泊施設を経営するチョン・ヒョンジャさん(83)が家計簿を開き、ため息をついた。チョンさんは「1月分のガス代の請求書を見て目を疑った。20年以上宿泊業をしてきたが、こんな金額は初めて」と吐露した。
「爆弾」のような1月分の都市ガスと電気料金請求書が届いて、宿泊業に従事する自営業者の心配が募っている。
宿泊業者らは「歯を食いしばって新型コロナウイルス拡大のなか3年持ちこたえてきたのに、投げつけられたのは光熱費爆弾」だという。
このままでは残された道は廃業だけだ。
そのうえ、政府がガス・電気料金を段階的に引き上げるとし、料金負担が続く可能性が高い。
新林洞(シンリムドン)で宿泊施設を運営するキムさん(52)は「ガス・電気料金が天井知らずに急騰しているのに、お客さんは財布の紐を締めるので宿泊業者は死ねということ。今後さらに上げるというので、もうやめたい」と声を高めた。
最近、冠岳区の宿泊業者を買収したチャン・インチュンさん(68)は、看板・冷蔵庫以外は電気を使わないのに、電気料金だけで73万ウォン(約7万5600円)になったという。「今、また公共料金を引き上げれば泣く泣く廃業せざるを得ない」と嘆く。
価格を上げればお客さんが来ない。価格を下げれば元がとれない。仕方なく耐えている――チャンさんはこう力なく語った。
こうした困難は具体的な数字でもあらわれる。韓国ガス公社によると、昨年12月時点の業務暖房用ガス卸売料金は1年前に比べて57.6%上昇した。今年1月の電気料金も前年に比べ29.5%上昇した。
小商工人連合会が小商工人1811人を対象にしたアンケート調査によると、回答者の99%が暖房費が負担になると答えた。休業・廃業を考えているという回答は8.1%を占めた。
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