韓国のある消費者の話。誕生日になって家のドアの前にプレゼントが宅配で10個送られてきた。宅配業者Aから配送した箱には携帯電話番号の真ん中4つの数字が「」で隠されている。宅配業者Bからの箱には番号最後の数字4つが「」で隠されている。宅配業者ごとに個人情報を扱う方式が異なる。2箱の組み合わせるだけで、この消費者の携帯番号を知ることができる――。
韓国で宅配業者が個人情報保護のため、宅配運送状の名前、連絡先、住所の一部を隠したり、使い捨て仮想番号を使っているものの、個人情報が十分に保護されていないという指摘が出ている。
宅配運送状に書かれた個人情報を犯罪に悪用した事例も少なくなく、自衛策に講じる市民もいる。配送段階から個人情報を匿名処理する方式を導入すべきだという指摘が出ている。
「ロッテ宅配」の場合、名前の中央文字を隠して受取人が「安心番号」(個人情報を保護するために作成された仮想の電話番号)を選択すれば、送り状の連絡先に安心番号を書く。しかし、安心番号を選択しなければ、実際の携帯電話番号が記される。「韓進宅配」は名前の最後の文字を隠し、電話番号は仮想番号を発行して送り状に書いている。住所はそのまま露出される。
韓国交通研究院の2021年「物流産業対国民認識調査」によると、物流サービスの不便な点を尋ねる項目に38.4%が「携帯電話番号など個人情報が露出され不安だ」と答えた。
宅配便の送り状を悪用した事件も発生している。2021年にはソウル市蘆原区の3人の母娘殺害事件の容疑者は宅配箱によって被害者の自宅住所を突き止めた。同年4月には宅配箱から隣の女性の連絡先を突き止め、わいせつ・脅迫メールを送った男性が摘発されている。
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