韓国軍が「予備」兵力を活用して対空防御を強化している。先月、韓国領空を侵犯した北朝鮮の無人機撃墜・捕獲作戦に失敗したことに伴う対応策とみられる。
江原道(カンウォンド)に駐屯地を置く陸軍第7軍団隷下の防空部隊所属将兵の一部に対し、最近、西海岸前方地域で6カ月間勤務するよう命令が下された。
防空部隊は▽通常兵器体系を直接扱い、作戦などの任務を実際に遂行する中隊▽訓練を受け「予備」状態で待機する中隊――に分かれ、一定期間ごとに循環勤務する。今回派遣されるのは「予備中隊」であるため「既存の部隊の作戦遂行には支障がない」というのが軍当局の立場だ。
しかし、軍内部では、江原道で勤務する将兵が西海岸地域に派遣されるのは異例とされる。北朝鮮の無人機が先月、韓国領空を侵犯した後、軍当局は「現存する戦力の活用効率を高める策」を模索するという方針を掲げており、これを実践するためという解釈もある。
軍の別の消息筋は「第7軍団は軍に存在する唯一の機動軍団であり、戦争が起きれば、駐屯地を離れて北側に進撃することを想定している」と指摘。「普段から他の軍団地域に移って訓練することが多い。有事の際、弾力的な投入が十分可能だ」と解説している。
ただ、一部では“下の石を抜いて上に石を積む”という批判もある。予備戦力とはいえ、将兵の派遣によって現在作戦中の将兵らの交代人員が足りなくなるという理由からだ。また、派遣期間が長引けば、既存部隊内の他の中隊の勤務循環周期が短くなり、疲労が高まる可能性もある。
加えて、北朝鮮の無人機がいつどこから侵入するかわからないため、特定地域の警戒強化はそれ自体が非効率的だという意見もある。
軍当局は防空部隊将兵の移設派遣勤務のほかにも、局地防空レーダー、アンチドローン統合体系、機動型ドローン探知ジャミングシステムなど対応戦力配置を調整する案も検討中だという。
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