2024 年 11月 25日 (月)
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[KWレポート] “韓国破産”25年後の実情 (8) 脆弱階層の保護を急げ

昨年12月13日、ソウル市内の銀行貸出窓口前を歩く市民(c)NEWSIS

高金利、物価高、貿易赤字など複合的な経済危機の兆候が随所に現れている。

韓国政府は過去の国際通貨基金(IMF)危機とグローバル金融危機が再現される可能性は低いという立場ながら、いつどこで発生するか分からない突発変数に鋭意注視する姿勢だ。特に専門家は、高金利による不動産市場の悪化、中小企業と脆弱階層への被害が懸念されるだけに、関連対策が必要だと口をそろえる。

金融業界筋によると、最近、韓国内外で経済危機に対する警告音が鳴り響いている。

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中で、米国など主要国の通貨緊縮が加速化し、グローバル金融市場の変動性が拡大。景気低迷に対する懸念が高まっている状況だ。米国はインフレ圧力が増し、最近、1994年以降最大幅の金利引き上げを断行している。

昨年からウォン・ドル為替レートも乱高下し、一時1400ウォンをはるかに超えたりもした。貿易収支(輸出額-輸入額)の赤字は500億ドルに達し、グローバル金融危機に見舞われた08年以降14年ぶりの最高値を記録した。

これと関連して金融業界の内外ではIMF危機あるいは金融危機が再現されるのではないかとの憂慮が持続的に出ている。最近の為替レート安、物価高、貿易赤字関連の経済指標が、先の経済危機の時と似ているためだ。

◇心配不要…だが随所に危機の兆候

韓国政府は過去の経済危機時と比較した時、外国為替保有額など対外健全性や流動性指標が良好で、経済危機を心配するほどではないという立場だ。ただ、随所に危機の兆候が現れているだけに、政府も注視している状況だ。

特に、金融サイドで不安が拡大しないように対応の準備を急いでいる。実際、テーマパーク「レゴランド・コリア」開発会社の債務不履行が触発した短期金融市場の流動性が目詰まりを起こした影響で、最近、国内金融不安指数(FSI)は「危機」段階に高まった状態だ。

専門家もやはり経済危機再現の可能性を低く見つつも、随所で突発変数に備えなければならないと口をそろえる。

淑明女子大学経済学部のシン・セドン教授は「IMF危機のような大きな危機が突然来る可能性は希薄だ。たとえ来たとしても、すぐに回復できる」と強調する。

経済成長や物価などを見た時、景気が良くないのは事実だ。急性ではなく長期的で慢性的な景気鈍化が持続するとみられる。来年の成長率が1%より、さらに低くなると予想されるそうだ。

シン教授は「来年も景気が厳しくなり、中小企業と脆弱階層が非常に大変かもしれない。それだけに政府は速かに、弱い人のための福祉、すなわち脆弱階層や零細企業、自営業者のための政策を用意しなければならない」と強調した。

◇不動産リスクと金融市場の変動性

すでに内外の金利引き上げに伴う脆弱階層の困難は現実のものとなっている。韓国銀行の「金融機関加重平均金利」統計によると、11月の預金銀行の家計貸出金利(加重平均・新規取り扱い額基準)は年5.57%と、2012年3月(年5.62%)以降で最も高い水準だ。

不動産リスクと金融市場の変動性に備えなければならないという意見もある。

漢陽大学経済学部のハ・ジュンギョン教授は「不動産ギャップ投資に伴う家計負債が国内経済のリスクとして作用している」と言う。不動産PF不良で金融部門に信用危機が発生する恐れがある。流動性の問題に伴う信用危機が経済全般に広がらないようにすることの必要性を説く。そのうえで「脆弱階層に対する対策も綿密に整えるべきだ」と訴えた。

ハ教授によると、韓国電力公社の韓電債の発行が難しくなったため、金融市場まで圧迫されているという。「エネルギー輸入が増えているため、エネルギー管理も重要な課題として浮上している」とみる。

現在、金融当局は金融脆弱階層を保護すると同時に、金融市場を安定化する対策準備に総力を傾けている。

キム・ジュヒョン金融委員長は、新年の辞を通じて「金融機関の流動性確保を支援し、追加的な規制緩和、金融安定勘定の設置などを継続推進していく予定だ」と強調。「脆弱階層のための個人債務者保護法制定を推進し、自営業者に対する貸出プログラムを内実あるように改編する一方、中小企業に対する金融支援も強化する」と述べた。

(おわり)

(c)NEWSIS

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