高金利基調の中で、不動産プロジェクトファイナンス(PF)が不良化する懸念まで重なり、建設会社の資金難が深刻化している。
金利引き下げが先行しない限り、今年も売れ残り物件は増加するだろうという見方が強く、建設会社のキャッシュフローに赤信号がともっている。
格付け各社は、昨年下半期、建設会社の信用見通しについて相次いで否定的な評価をくだしたのに続き、今年の方向性も否定的になると予想する。
ナイス信用評価によると、同社は昨年、ロッテ建設の信用格付けを「A+安定的」から「A+否定的」に、テヨン建設は「A安定的」から「A否定的」に、それぞれ引き下げた。
韓国の格付け会社も先月、ロッテ建設とテヨン建設の見通しを安定的から否定的に変え、ハンシン公営とトンブ建設も「BBB肯定的」から「BBB否定的」に下方修正した。
また、韓国の企業評価会社は昨年初め、現場事故の問題があったHDC現代産業開発の信用等級をA+からAに下げ、否定的な展望をしている。
◇困難に直面する建設各社
昨年、建設会社は上半期の原材料価格上昇による原価負担、下半期はPF借り換えリスクの深刻化などの困難に直面した。また、下半期から米連邦準備制度理事会(FRB・連準)の本格的な金利引き上げで売れ残り住宅が増加した。
「韓国技術評価」はリポートを通じて「昨年9月末の売れ残り住宅は4万2000戸で、前年の同期に比べ3倍に増えた」と指摘。「景気低迷と、高まった住宅原価を勘案すれば、短期間内の需要回復は難しいとみられる」とした。
ナイス信用評価のホン・セジン研究員は「建材価格上昇などで、昨年は主要建設会社の収益性が全般的に低下した中で、急激な金利引き上げに伴う金融市場の硬直化で、PF偶発債務の負担が過重だと判断される建設会社は、等級見通しが安定的から否定的に変更された」と説明した。
ホン氏によると、ロッテ建設のPF偶発債務は2020年末に3兆6000億ウォンだったが、昨年11月には6兆9000億ウォンに拡大した。また、急激な金利引き上げや、テーマパークのレゴランド・コリア開発会社の債務不履行などで、分譲事業の不確実性及びPF偶発債務の借り換えの危険が拡大し、有償増資と金融機関及び系列会社からの借り入れでPF借入金の借り換えの危険に対応したという。
ホン氏は「これにより財務安定性が低下したうえ、悪化した住宅景気などを考慮すると、短期間で借入負担が緩和される可能性は低い」と判断している。
テヨン建設のPF偶発債務も2019年末1兆8000億ウォンから昨年9月末3兆2000億ウォンに拡大した。
◇信用等級、否定的な方向へ
信用評価会社は、来年の業況も楽観的に見てはいない。「韓国技術評価」は、今年の分譲件数が昨年より15%ほど減少すると予想している。
ホン・セジン研究員によると、未分譲物件の拡大で建設会社のキャッシュフローが低下すると予想される▽金融市場の硬直化でPF偶発債務及び既存借入金の借り換えの危険が拡大した――などを考慮すると、今年の建設会社の信用等級の方向性は否定的ということになる。
ホン氏は「短期間内に住宅市場の活性化が難しいなか、各住宅現場別に分譲実績と工事代金の回収現況、PF偶発債務の借り換えの危険を、今後、信用等級に反映させる予定だ」と指摘する。
韓国信用評価院のアン・ヒジュン研究員もやはり「グローバルインフレと通貨緊縮基調、消費と投資の萎縮、不動産景気の低下、資金調達環境の悪化などで信用度の下方圧力は拡大する模様だ」との見解だ。
キム・ヒョンハン技術評価研究員は「今年の分譲件数は昨年と比べ15%前後の減少傾向を示すと予想される。非住宅ポートフォリオ保有企業等と住宅事業の集中度が高い業者間の信用度は両極化するとみられる」と説明した。
(つづく)
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