急速に変化する消費トレンドにほどよく対応したことも、成功の要因の一つだ。ライバルである百貨店、大型マート、超大型スーパーマーケットより店舗規模が小さいという点で、店舗別に細分化された戦略を適用できるのがコンビニの特徴だ。主要なターゲットであるMZ世代を狙い、時代の流れに合うコラボ商品とコンテンツを相次いで発売するのだ。
例えば、昨年初めに「ティブティブシール」で人気を博した「ポケモンパン」のトレンドに乗ろうと、これと類似した「メイプルストーリーパン」「デジモンパン」「ワンピースパン」など、コラボ商品を相次いで発売したのだ。
最近、注目されるのがマルチプル店舗だ。
日本のコンビニでは、▽コンビニ+カフェ▽コンビニ+薬局▽コンビニ+カラオケ――など、地域特性に合わせた複合形態の店舗が運営されている。韓国でも▽コンビニ+クリーニング店▽コンビニ+銀行――などの複合店舗が増えている。多様なサービスを望む消費者のニーズに合わせて変化した結果だ。
業界関係者の解説はこうだ。
「コンビニは主な購買層が若年層なのでスピードやトレンドに敏感にならざるを得ない。オフライン沈滞期と呼ばれた新型コロナウイルス感染時期にも、オフラインだけに留まらずオンラインに領域を拡大したことも成長につながった」
◇単身世帯やMZ世代に必須の消費チャンネル
物価高が進む中で、コストパフォーマンスの良いPB(自社ブランド)商品などを通じて市場に食い込んでいるのもコンビニの高成長要因と言える。CUが昨年2月に発売した「延世(ヨンセ)牛乳生クリームパン」が代表的だ。全体の80%に生クリームが入っているにもかかわらず、価格は2700ウォン(1ウォン=約0.1円)とお手頃で、2000万個も販売された。
2015~17年に起きた「コンビニ弁当ブーム」が再燃しているという分析もある。
弁当やおにぎりだけでなく、1食の代わりになるHMR(家庭簡便食)、RMR(レストラン簡便食)の販売も増えている。ニールセンコリアによると、今年のコンビニでのHMR成長率は前年比10.5%に達する。
コンビニの客単価はライバル業態の中で最も低い。
昨年10月の数字で比較すると、百貨店は13万1908ウォン、大型マートは5万5141ウォン、超大型スーパーマーケットは1万7126ウォンであるのに対し、コンビニは6790ウォンだ。コンビニでの客単価の低さは低価格商品、小容量商品が主体であるためだが、消費余力が低下した消費者を確実に引き寄せた結果と見ることもできる。
仁荷(インハ)大学消費者学科のイ・ウンヒ教授は次のような見方を示す。
「コンビニ業界は顧客分析、商圏分析などを土台にオーダーメード型企画商品を合理的、低価格で販売することで、単身世帯やMZ世代に必須の消費チャンネルに成長した。今までなかったショッピングの分野にまで領域を着実に拡大し、実生活をコンビニだけで解決できるようになっている」
(つづく)
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